ロシアの空爆がしかるべき成果を、上げているのであろう。このところ、ロシアの空爆をきっかけに、関係諸国の動きに変化が出てきている。トルコやNATOそしてアメリカの対応が、変化してきているのだ。
トルコはエルドアン大統領がブリュッセルを訪問し、彼一流のシリア・イラク難民問題解決策なるものを、提案している。それは簡単に言ってしまえば『シリア反政府側戦闘員の訓練』『航空禁止空域の設定』『安全地帯の設定』というもののようだ。
アメリカはもっと突っ込んだ動きを、始めるようだ。それは二つの新たな動きから、推測することができよう。一つは、アメリカが直接、反シリア政府に武器を供与することだ。
第二には、トルコのインジルリク空軍基地から、本格的な空爆を始めることだ。そして5000人の戦闘員が、クルドの20000人の戦闘員とともに、戦闘に参加することだ。このシリアのミリシアとクルドのミリシアが、戦闘を展開するのが、IS(ISIL)の本部があるラッカ市だ。
アメリカはトルコとの連携で、本格的にIS(ISIL)叩きを始めるようだが、これは初めてのことだ、と中東の報道は伝えている。それでは、今までのアメリカ軍による、IS(ISIL)に対する攻撃はなんだったのか、という疑問が湧くのだが。
アメリカはこれまで、あたかもIS(ISIL)を攻撃しているかのように見せかけ、実はアサド体制打倒のための、攻撃をしていたのであろう。しかし、これにはアメリカの陸軍を、直接投入していたわけではないので、自由シリア軍など反アサド側に対する援助と、空爆だけでごまかしてきていた。
しかし、ロシアがシリアに本格的に乗り出し、軍事行動を始めたことによって、アメリカの嘘がばれてしまうことになったようだ。そうでなくても逃げ出す自由シリア軍の戦闘員に、ロシアが空爆をしたのでは胡散霧消してしまい、アメリカの目的に沿って戦う戦闘員は、消えてしまおう。
これではシリア問題が解決したとき、シリアに対するあるいは中東地域に対する、アメリカの影響力は何も残らなくなってしまい、ロシアの一人勝ちになってしまおう。そうなれば、アメリカと一体だったトルコの立場も、極めて悪いものになってしまおう。それはアメリカの中東戦略の失敗を、意味するということだ.
ロシアに煽られたか・米がISの本拠地ラッカ攻撃へ
2015年10月 6日