IMFのクリスチャン・ラガード女史が、イランの世界石油市場復帰で、石油価格に影響が及ぼうと語った。至極当然の判断であろう。それは石油価格が下がるということであろうが、イランの市場復帰以外にも、石油価格が下がりそうな要因は幾つかある。
第一に、石油の大消費地である中国の経済が、悪化の一途をたどっていることだ。加えて、第二には中国の経済が後退し、世界の経済に大きな影響を与えていることだ。したがって。世界的に石油の需要が、低下するということだ。また、いま世界経済は極めて不安定な状態にあり、石油消費はそれと連動して、低下していることだ。
サウジアラビアは石油価格を、下げる原因を作った国だが、同国の財政状況も芳しくなく、ついには外国にある資産を、取り崩し始めている。こうなると、サウジアラビアは出来るだけ、市場を確保しようとするであろうから、石油をより安く売ることにより、顧客を獲得しようとする可能性が、高まっていよう。
石油価格を決定するのは、市場の需要と供給ではなく、最近では完全に投機家たちの思惑に、よるようになってきているから、需要と供給のバランスだけでは判断できないが、常識的には石油価格は、上がらないということであろう。
そうしたなかで、今ある不安材料はサウジアラビアの国内が、不安定化することではないか。サウジアラビアが混乱すれば、それは他のアラブ湾岸諸国にも、大きな影響を与えることになろう。
つまり、私に言わせれば、今後の石油価格は、サウジアラビアという不安材料だけを見ていれば、ほぼ見当がつくのではないのか、ということだ。最近のサウジアラビアは、メッカのクレーン倒壊事故により、100人を超す死者トやはり100人を超す負傷者を出し、ハッジでも同様に1000人を超す圧死事故を出し、メッカのホテル火災も起こっている。つまり、どうも最近のサウジアラビアは、悪運に見舞われているのではないか、ということだ。そして、そのサウジアラビアの玄関のドアを、IS(ISIL)がノックしてもいるのだ。