『EU難民はトルコに押し付け・ハッジ主催サウジから剥奪しろ』

2015年10月 5日

 

中東からとんでもない情報が流れてきた。一つは、シリアやイラクの難民をトルコが、責任を持って世話する、ということが、EUとの間で話がついた、ということであり、もう一つの情報は、イランがハッジの主催権限を、サウジアラビアから剥奪しろ、というものだ。そのいずれも、極めて重要なことであるということは、おおよその見当がつこう。

 

EUとの合意でトルコはギリシャとの国境を厳重に管理し、シリアやイラクの難民がギリシャ経由で、ヨーロッパ諸国に流れ込むことを、阻止するというものだ。

トルコは6か所の新たな難民キャンプを、自国内に設立し、そこに200万人のシリアやイラクの難民を受け入れ、彼らに対する十分なケアをする、というものだ。その費用の一部は、ヨーロッパ諸国が負担する、という取り決めも、出来たようだ。しかし、これにはもう一つの合意が、含まれている。それはヨーロッパに入国できた、シリアやイラクの難民たちのほとんどを、トルコに戻すというものだ。

 EUとトルコが交わした、今回の合意はエーゲ海などで、トルコからギリシャに渡る難民の多くが、犠牲になっていることを受けて、下された決定だ。

 トルコのエルドアン大統領は、彼自身に対するヨーロッパでの評価を、高めようということが、今回の合意の根底にある、と思われるのだが、そのことは、トルコをますます混乱と、経済的低迷に導く可能性が、高いのではないのか。

 

*イランのアヤトラ・ムハンマド・エマミ・カシャニ師は『サウジアラビアにはハッジを安全に取り仕切る、能力が無いのだから、OIC(イスラム諸国会議)に、来年からハッジの運営を任せろ。』と言い出した。

 これは今年のハッジでは、サウジアラビア政府発表では、770人の犠牲者が出たとなっているが、イラン政府の発表では、4700人のハッジャージ(巡礼者)が、犠牲になっている。

 いずれの数字が正確かは別に、大量の死者が出たことは、否定できない事実だ。サウジアラビアには200万人を超える、ハッジ参加者を安全に誘導する、能力が無いというのは、正しい判断であろう。

 しかし、そのことはサウジアラビア政府にしてみれば、極めて不名誉な話であろう。このイラン側の発言の裏には、両国の緊張した関係が、影響していることも事実であろう。