トルコの与党AKP は、11月1日の選挙に向けて、議院内閣制から大統領制への移行を、選挙公約から取り下げるようだ。それは国民の間で、どうも人気が無いという判断が、出たためであろう。
さる8月14日の段階では、エルドアン大統領が議院内閣制から、大統領制への移行を、強く主張していたのだが、どうもこのことを前面に出すと、与党支持者の間でも、支持を減らし得票数を減らす、と考えたのであろう。
そのことは、これまで何度か繰り返されてきた、世論調査の結果からも分かる。与党AKPは相変わらず支持するものの、大統領制に移行することについては 反対だというAKP支持者が 少なくないのだ。
トルコは憲法が制定されて以来 今日までその憲法に従って 国が運営されてきている。それはすでに140年の長きに及んでおり、カーヌーンー・ウエサーシー(憲法が基本だ)、という考えが定着している。
AKPが大統領制への移行を叫んでいた中で、野党のCHPは現実的な経済改善策を、選挙公約として打ち出していた。トルコ国民にとっては、大統領の権限だけが拡大される、AKPの選挙公約よりも、CHPの選挙公約の方が、余程現実的だとして、受け止められているのだ。
しかし、だからといってAKPは、大統領制への移行を、完全に取り下げるものとは思えない。エルドアン大統領がそれに、固執しているからだ。権限を拡大したい、というのが彼の願望であり、選挙で勝利し、単独政権になれば、この話はぶり返されよう。
エルドアン大統領は彼の目的が、達成されるまでの間は、議院内閣制の下で、大統領制と同じ動きをする、ということになろう。そこで一番腹を立てるのは、ダウトール首相であろう。