イギリスのロンドンにある、ICSR(過激化国際研究所)から、IS(ISIL)離脱者に関する、報告が出された。それによれば、IS(ISIL)から離脱した者たちの証言から、IS(ISIL)の活動の実態が見えてくる。
この研究所は58人のIS(ISIL)からの、離脱者について報告しているが、彼らの3分の2は、今年中に離脱している。また既に、数百人がIS(ISIL)から離脱している、ということのようだ。
この夏だけでも3分の1が離脱している。離脱者はトルコ経由で逃れているが、逃亡に失敗し捕まり、処刑された者も相当数いるようだ。
離脱者の離脱理由についてはいろいろあり、個人的な欲望からIS(ISIL)入りしたが、それが全くかなえられなかった、という者もいる。彼らは高級ブランドや、高級車を手に入れることを望んでいたが、かなえられなかったために、離脱したというものだ。
また、ある者は特攻用のベルトをつけられ、自爆攻撃を強要されたが、それを望まなかったことで、離脱したと語っている。
ある者はIS(ISIL)支配下での生活が厳しく、何の贅沢も出来なかったと語り、まるで刑務所暮らしのようだった、と語っている。
IS(ISIL)内では人種差別があり、有色人種はトイレ掃除をさせられていた、とインドからの参加者は語っている。
IS(ISIL)内部では汚職もはびこっており、幹部やエミールは金をごまかし、私服を肥やしてもいたということだ。
しかし、IS(ISIL)はシリアのアサド体制を、打倒することには、重要性を感じていないし、スンニー派ムスリムを守ることにも、特別な関心を払わず、スンニ-派ムスリムでも、簡単に殺害していた。村に対する対応にも、一貫したものは無く、場当たりで殺害していたということだ。
殺害は一般的であり、一般人を捕まえれば殺害し、人質も殺害していた。そればかりか、IS(ISIL)のメンバーですら、理由も無く殺害され、彼らにはスパイや裏切り者、というレッテルが貼られていた。
ある離脱者は『IS(ISIL)はムスリムを守るのではなく、ムスリムを殺害する組織だ。』と語っている。
こうした離脱者の報告は、当然反IS(ISIL)側の宣伝材料になる。アメリカ政府はIS(ISIL)との間で、プロパガンダ戦争もしているのだ。今回のICSRの報告が、どれだけの効果が出るのか、期待したいものだ。