『ヨーロッパで広がる反難民感情』

2015年9月20日

 

 ヨーロッパには何十万人、あるいは何百万人の難民が、毎日押しかけてきている。ヨーロッパ人が彼らに対して、不安を抱かないのは嘘であろう。人道主義者や、民主主義者といわれる人たちですら、このおびただしい数の難民を前にするとき、不安を抱くことになる。

 そうしたなかで、ヨーロッパ人の間では日に日に、難民に対する敵対感情が拡大している。その最たるものは 文化や宗教の違いに起因している。また、シリアやイラクから伝わって来るニュースも、ヨーロッパ人の不安を掻き立てている。

 ヨーロッパを代表するような人士が、この現状を前に、遂に本音を吐き始めている。ハンガリーの大統領はもう難民を受け入れたくない、と国境閉鎖を決めた。それはブルガリアも同様であり、ポーランドも同じだ。

 トルコから陸路入ってくる、シリア難民に対して、強い警戒心を抱いているのだ。トルコの例で分かるように、シリアからの難民が入って来ると、彼らは低賃金で仕事を始めることになり、その結果、土地の住民は仕事を奪われたり、賃金を引き下げられたりするのだ。

 加えて、難民が定住の方向になると、難民が住宅を借りるため、住宅価格も高騰する。それは賃貸住宅の場合により顕著だ。そしてそれは現地住民の生活を、圧迫することになる。もちろん、食料品や一般消費物資の、値上がりも起こるのだ。

 ヨーロッパでも同様であり、そのことに加え、宗教と文化の違いがあるのだから、ヨーロッパ人は気が気ではない。そうしたなかで叫ばれ始めているのが、『シリア難民がやがては、ヨーロッパで斬首を始める。』という考えだ。シリア難民は斬首が行われていたところから来たのだから、彼らにはそうした、文化的素地があるというのだ。

 ドイツの著名人が『このままシリア難民を受け入れていったら、やがてはヨーロッパで、斬首が行われるようになる。』と警告している。その不安が今後どんどん、ヨーロッパ人の間で広がっていこう。

 ポーランドの著名人も、その懸念はぬぐいきれないと語っている。彼はノーベル賞を受賞している人物なのだが『斬首の国から来た人たちが、我々の国でもそれを起こすだろう。』と語っている。

 また、シリアからの難民の服装は、我々ポーランド人よりもいい、彼らは我々よりも裕福なのだとも語っている。つまりシリアからの難民は、経済難民だと言いたいのであろう。

そして難民が定着した場合、第2世代3世代目になっても、現地の文化や生活スタイルに、溶け込むことはなく、彼らの文化を守るだろう。そこで文化的衝突が起こり、遂には武力対立が生まれる、と懸念しているのだ。

 こうしたことが起こらないようにするためには、ドイツのような裕福な国が、難民の出てくる国の中に産業を育て、彼らが自立していくよう、助けるべきだと語っている。

 しかし、いまシリアでは戦闘が繰り返され、犠牲が生まれている。そこではドイツがどれだけ資金を提供しても、産業が育成され、シリア国民が難民として出国することを止めることは、出来ないという現実があるのだ。

 ヨーロッパには今後何百万人という難民が、シリアやイラクそしてアフリカやアジアから押しかけ、大きな社会問題となっていこう。ヨーロッパにあって、経済的に恵まれているドイツですら、難民援助が各地域自治体にとって、大きな負担になっているのだ。

 そこでヨーロッパがとりうる対応策は、中東諸国なかでもトルコに、シリア難民を押し込めるということだ。そして、ヨーロッパ各国は何がしかの援助を、トルコに送るという方法であろう。トルコはそのヨーロッパの、狡猾な対策を前に、打つ手が無いということだ。