トルコのシムシェク財相は、トルコの経済が危険な状況にあることを、テレビで語った。彼によればそれは、政治的な不安定が、その原因であるということだ。政治的に安定しなければ、トルコの経済はいまよりも、もっと悪化していく、ということだ。
与党AKPの方針では、2023年までにトルコを、世界のトップ10の国にする、ということだったが、現状ではほとんど無理であろう。それは政治的に不安定な、状況にあることに加え、EU加盟もおぼつかなく、なってきているからだ。
シムシェク財相は与党AKPを、名指しでは非難していないが、AKPの方針が間違っていることを、暗に語っているのではないか。そのことは、多くのマスコミが、察知しているようだ。
政府は長期的戦略を立て、国際社会の中で行動していく必要がある。しかし、政府には長期戦略がないし、反政府側の国民は、単に反政府のスローガンを、叫んでいるに過ぎない。
そうした政策不在の中で、トルコ・リラは過去2年間で、50パーセントの価値を失い、今年だけでも、30パーセント値下がりしている。それは述べるまでもなく、エネルギー輸入では大きな負担となっているし、ガス輸入だけでも40億トルコ・リラ支払いが増えている。今後はそれがもっと厳しいものに、なっていくということだ。トルコ・リラは9月14日、ドルに対し3・0689リラと下げている。
加えて、外国の短期投資がトルコから引き揚げており、結果的に、トルコ・リラはますます値下がりする、ということになろう。欧米の主要な投資会社は、すでに、トルコから資金の引き出しを、始めているのだ。
それが、11月の選挙にどう響いてくるかが、現在一番関心がもたれる点であろう。そうなると、エルドアン大統領は選挙をせずに、本来は11月の選挙を実施するための、臨時で結成された連立内閣を、このまま長期政権として、押し切るかもしれない。その可能性も出てきているということだ。
以前、エルドアン大統領は『連立内閣は長期的に耐えられる、しっかりしたものにすべきだ。』と語っているが、その言葉の意味するところが、近くわかるようになるかもしれない。