トルコではエルドアン大統領の傲慢な言動が、各層の怒りを買っているようだ。なかでもコザ・イペク社に対する弾圧は、大きな反発をトルコ社会内部に、生み出している。トルコのインテリたちは、さすがにここまで来ると、黙ってはいられない、ということであろう。自分が逮捕され、長期にわたって投獄されることを、覚悟の上で動き出した。
180人のインテリが連名で、エルドアン非難声明を発表したが、その中ではエルドアンを、ヒトラーになぞらえている。
ヒトラーが誕生して権力を拡大していくうえで、ドイツのインテリは沈黙していた。それはヒトラーが最初に共産主義者だと言ったが、彼は共産主義者ではないので発言を控えた。
次いでヒトラーは社会主義者だと言い出したが、自分は社会主義者ではなかったので、批判を控えた。次いで貿易協会主義者だと言い、そのあとには反ユダヤ主義に変わっていった、しかし、私はユダヤ人ではなかったので、何も語らなかった。しかし、その後には自分も、被害者になっていた
このエピソードは、トルコのインテリ層に対して呼びかけた、覚醒のメッセージであろう。いま行動しなければ、ドイツが生み出したヒトラーのような化け物を、トルコが創り出すということであろう。述べるまでもなく、その化け物とはエルドアンのことだ。
この180人のインテリだけではない。トルコのベテランの作家であり ジャーナリストのアハメト・アルタン氏が 政府を激しく非難した。彼は政府のコザ・イペク社に対する、弾圧に我慢ができなくなり、ついに非難を始めたのだ。
彼は現在、トルコで進められていることを、正確に理解するには、マフィア映画を見るのが、一番いいと語り、しかし、マフィアは国家を統治することは、許されないと語った。
そして、トルコはエルドアン大統領が望んでいるような、大統領制を許すことはないとも語った。このアハメト・アルタン氏のインタビュー内容は、政府が厳しい査察をした、コザ・イペク社の経営するブギュン・テレビでの発言だった。
最近トルコから各層の人たちが来日し、その何人かは私に会いに来るが、その度にトルコの今後は、どうなるのかと聞かれる。そこで答えるのは、何事も無理には限界がある。最近のエルドアン大統領には、余裕のなさが目立ちすぎており、それが結果的に、彼の権力者としての寿命を、縮めることになると答えている。
11月1日の選挙の投票日の前か、その後か、エルドアン大統領の政治家としての今後は、長くはあるまい