イラクやシリアで猛威を振るっていた、IS(ISIL)の両国での動きが、大分穏やかになってきている。それはIS(ISIL)が国際展開を、本格的に始めているからでは、ないかと思われる。
以前から報告してきたように、IS(ISIL)はリビアに入り海岸線の都市を主に、支配しようとしてきている。これはリビアの石油の積出港を支配しよう、石油の生産地の油井を支配しよう、という目的からだと思われる。
しかし、リビアの石油を支配して、それを密売するということについては、必ずしも成功していないようだ。リビアのイスラム原理主義組織が、IS(ISIL)を支持してくれる、と思っていたのだろうが、リビア人はそう簡単ではなかった。
今ではIS(ISIL)の戦う主な相手は、リビアの正統政府の軍もそうだが、それに加え、イスラム原理主義組織になってきているのだ。
ここにきて、IS(ISIL)は石油ビジネスが、次第に難しくなってきていることに、気が付き始めているのではないか、たとえば、トルコの場合は既に、密売ルートとしては、極めて厳しい状況に、なってきているのだ。
そうした中で、IS(ISIL)の戦闘員が多数、アフガニスタンに移動している、というニュースが伝わってきている。どこまで本当かはわからないが、アラブのアッサフィール紙は、イラク・シリアのIS(ISIL)戦闘員の70パーセントが、既にアフガニスタンに移動した、ということだ。
アフガニスタンではタリバン組織が、次第に力を増してきており、アメリカの支援する政府は、それとは反対に影響力を、低下させている。このタリバン組織のメンバーの、10パーセントがIS(ISIL)支持に、回っているということだ。
加えて、アフガニスタンの34の州のうちの25州で、IS(ISIL)は拠点を設けている、という報告もある。また、IS(ISIL)はシリアの本部ラッカから、1000万ドルという大金を既に、アフガニスタンに移送した、とも伝えられている。
これは一体、何を意味しているのか、と考えてみたのだが、IS(ISIL)が石油の密売から、麻薬の密売に資金獲得の手段を、変えるということではないか、と思われる。述べるまでもなく、アフガニスタンは世界一の、アヘンの産地なのだ。
もし、この推測が正解であれば、今後、ロシアとヨーロッパに、大量のアヘンが密輸される、ということではないか。あるいは、中国もアヘンの有望な市場に、なるかもしれない。
述べるまでもなく、そうなれば、ヨーロッパやロシア、中国には甚大な被害が生まれ、かつ経済は後退することになろう。それを喜ぶのは誰なのか考えてみたいものだ。