エジプト領土のシナイ半島北部では、以前からアンサール・バイト・ル・マクデスが、エジプトに対する、テロ攻撃を続けている。これに対し、エジプト軍は兵を増員し対応を急いでいる。このアンサール・バイト・ル・マクデスは、IS(ISIL)と強い連携関係にある組織だ。
エジプトがアンサール・ベイト・ル・マクデスの対応に失敗すれば、エジプトの一大産業である観光部門が、大きなダメージを受けるし、その他の産業にも悪い影響が及ぶからだ。したがって、シーシ大統領は徹底的なたいおうをすることになったということだ。
このエジプトの状況を見ているイスラエルも、決して楽観してはいない。エジプトとの国境地域担当の、司令官であるハコーヘン氏は、イスラエルもシナイ半島からのIS(ISIL)の攻撃を、警戒しなければならないと語った。
彼によれば、IS(ISIL)がイスラエルに対して、攻撃を仕掛けてくることは時間の問題であり、IS(ISIL)の攻撃はあるかないか、というレベルではない、ということだ。そして、彼は自分の任務の期間中に、それが起こるだろう、と警告している。
ただ、いまの段階では、IS(ISIL)はあくまでもエジプトに対する攻撃に、作戦を絞っており、イスラエルへの攻撃は無いだろう、ということのようだ。ハコーヘン司令官はIS(ISIL)側が、イスラエルを攻撃した場合に、報復で受けるダメージを警戒している、とも語っている。つまり、IS(ISIL)の攻撃があった場合には、イスラエル側は徹底的な報復を、行う用意ができている、ということであろう。
IS(ISIL)のエジプト側に対する攻撃は、軍人だけではなく、一般市民も含んでおり、無差別の攻撃が行われている。
コーヘン司令官は、エジプト軍がIS(ISIL)に対する攻撃を継続し、これから1~2年の間に、IS(ISIL)を打倒するだろう、とも語った。
イスラエルはIS(ISIL)による、自国への攻撃が予想される中で、エジプトのIS(ISIL)撲滅作戦に、応分の協力をするということでもあろう。既に、イスラエル政府側はエジプト側に対し、協力する意向であることを、伝えている。
かつては敵同士であったイスラエルとエジプトが、IS(ISIL)を前に団結するということは、大きな状況の変化であろう。それは今後の中東の変化に、少なからぬ影響を及ぼすものと思われる。