トルコ国民の意向は、だんだんエルドアン大統領の考えとは、かけ離れてきているようだ。エルドアン大統領が強く希望している、大統領制への移行を支持する国民の数は、極めて少ないということが、最近行われた世論調査で、明らかになった。
その世論調査によれば、トルコ国民の78・3パーセントが大統領制への移行に、反対していることが分かった。その理由は大統領制に移行した場合、エルドアン大統領はより独裁的になる危険性が、あるということだ。そして、それはトルコを二分する危険性に、もつながるという考えのようだ。
11月1日に予定されている選挙で、エルドアン大統領は多数を獲得し、単独政権に戻り、自身を初代の権限を持つ大統領にするつもりだ。しかし、最近の世論調査の結果では、与党AKPが過半数をとることは、ありえないという結果が出ている。
その世論調査では、AKPが38・9パーセント、CHPが27・8パーセント、MHPが16・3パーセント、HDPが13・5パーセントを、獲得することになろう、という予想だ。つまり、与党AKPは過半数を獲得できず、連立を組まなければならなくなり、そうなれば大統領制は、成立しないということだ。しかし、世論調査の結果とは別に、エルドアン大統領は選挙さえやれれば、AKPは過半数を獲得できる、と信じ込んでいる。
これまでの経緯からも、エルドアン大統領に対する支持は、下がって行こう。連立工作が失敗したのは、エルドアン大統領が邪魔した結果だった、と考えている国民が52・5パーセント、野党が悪いとする者は29・7パーセント、ダウトール首相が失敗したからだ、とする者が17・8パーセントとなっている。
また、ダウトール首相が連立工作に失敗した後、野党第一党CHP党首に連立工作の権限を、与えるべきだったとする意見は、66・4パーセント、反対意見は33・6パーセントとなっている。
裁判の公平さ関する意見では、75・2パーセントが裁判の公平さを信用しておらず、68・4パーセントは裁判費用が支払えないために、公平な裁判受けることは出来ないと答えている。
つまり、現在のエルドアン体制に対する信頼度は、大幅に下がったということであろう。これでは次の選挙で、AKPが失地挽回するということはありえまい。
それどころか、エルドアン大統領の立場は極めて、危険になるということではないのか。そうなると、彼はなりふり構わず、彼自身と家族を、守ろうとするであろう。そこでは、憲法など存在しないのも、同じであろう。