『エルドアン選挙に向けて動き出す』

2015年8月25日

 

 トルコのエルドアン大統領は、新たな選挙に向けて、本格的に動き出した。今回の選挙は、さる67日に行われた選挙で、与党AKPが過半数を割り、単独政権を結成することが、出来なくなったために、行われるものだ。

 もちろん、選挙の前には野党との、連立交渉も行われたが、それは体裁だけであり、エルドアン大統領は連立政権の誕生を、裏で潰しにかかっていた。結果的には、野党第一党のであるCHP とも、第二党であるMHPとの連立政府も、誕生することが出来なかった。

 今回その連立工作の期限が切れたことで、エルドアン大統領は正式に、次の選挙(111日といわれている)を行うことが、出来るようになったということだ。

述べるまでもなく、エルドアン大統領は次の選挙で、勝利して単独政権を誕生させるつもりなのだが、必ずしも彼の思い通りには、行かないかも知れない。

 1ヶ月ほど前に出た世論調査の結果では、エルドアン大統領の思惑どおり、与党AKPが勝利し、単独政権を発足させることが、出来るというものだった。 

しかし、最近行われた世論調査では、前回の選挙で与党AKPが獲得した、41パーセントよりも少ない、38~9パーセントの票を獲得するに留まるのではないか、という結果が出ている。

 それは、最近のトルコの国内自事情を、反映してのものであろう。PKK(クルド労働党)との平和な関係が壊れ、既に100人を超える軍や警察関係者が、殺害されているし、経済も後退し、トルコ・リラもその価値を、大幅に下げている。

加えて、アメリカからの強い圧力により、トルコはIS(ISIL)に対する、本格的な攻撃も始めている。こうした状況は観光客の訪問者を減らし、物価は値上がりし、失業が拡大することにもなっている。国民にしてみれば、トルコは全面的に悪化の方向にある、ということになろう。

そうした状況下で、エルドアン大統領に残された手段は、マスコミに圧力を掛けて、政府に対する非難の報道を、阻止することであろうが、それをやればやるほど、マスコミは反政府の立場をとることになろうし、政府の圧力をトルコ国民は、明確に知ることになろう。

もうひとつエルドアン大統領に残された切り札は、アメリカとの関係がいいということであろうが、オバマ大統領は今後数ヶ月に渡り、予定が立て込んでいることを理由に、エルドアン大統領には会わない、という返答を最近、トルコ政府に伝えている。そうなると、最新の世論調査のように、エルドアン大統領の考える選挙による勝利と、単独政権の発足は、ほとんど不可能になろう。

一説には与党AKPは今度の選挙で、38パーセントどころか、35パーセントも割るのではないか、という予測をする専門家もいる。