イランは核兵器開発の疑惑で、世界から制裁を受けていたが、それが近い将来、解除になるという見通しが、一般的になってきた。そうなれば、イランがどれだけ石油を輸出しようが、クレームをつけられるいわれはなくなる。
イランはどうやら、今年の6月ごろから海上で、タンカーに石油を満載し、何時でも石油の輸出が出来る体制を、取っているようだ。その海上備蓄石油の量については、幾つもの説がある。3000万バーレルから4000万バーレルというのが、その推測されている量だ。
しかし、それよりも多い5000万バーレル備蓄、と見ている専門かもいる。それがアジアの市場などに、流れ出す可能性が高い。中国の経済後退や、世界の景気後退で、石油市場は低迷しているが、石油価格が安ければ話は異なろう。
つまり、最低でも3750万バーレル、多ければ5000万バーレルの石油が、イランから2016年には、世界の市場に流れ込む、ということになろう。それは、イランにとっては輝かしい未来であり、他のOPEC諸国にとっては、悪夢となろう。イランが超破格値段で、輸出する可能性が、否定出来無いからだ。
イランは石油を大量に、安価に輸出することになりそうだが、そうなると、イランには巨額の外貨が、流れ込んでいくということでもある。それを狙ったパレスチナのハマ-スなどの代表団の、イラン訪問が行われているのであろう。
述べるまでもなく、レバノンのヘズブラも、その恩恵に浴すであろうし、シリアのアサド体制も、然りであろう。石油の流れがそう変わっていくということは、中東の力のバランスにも、変化が生じるということではないか。
パレスチナ内部では、ハマースの力が増していこう。老齢のマハムード・アッバース議長への支持は、ますます下がっていくことになろう。ヘズブラはレバノンの国内政治で力を増していこうし、イスラエルに対する、挑戦の度合いも強まろう。
そのことを、アメリカのオバマ大統領は、何処まで予測し計算しているのか、他方、イスラエルのネタニヤフ首相は、これまで以上に、イランに対する不安感を、募らせているのではないのか。