エジプトのスエズ運河に、支線ができた、この結果、スエズ運河はこれまで一方通行しかできなかったものが、双方向の通過が可能となった。そのことは、スエズ運河を通過する船舶の数が、劇的に増加することを、意味している。
これまで、スエズ運河から入る通過料収入は、年間約53億ドルだったが、2023年までには、132億ドルに増える予定だ。第二スエズ運河の両岸の、掘削が終わっていないために、2023年までの通過が、制限されるからであろう。
スエズ運河の通過船舶数は、現在の段階では、一日当たり49艘だが、2023年には97艘に増える予定だ。船舶のスエズ運河通過待ちは、今まで最大で11時間だったが、これからは3時間に短縮される、と見込まれている。
現在、スエズ運河を通過する船舶数は、世界全体の船舶運航数の、8パーセントだが、今後、これが3倍程度になるのではないか。
第二スエズ運河は、深さ24メートル、長さが72キロメートル、工事期間が12か月、国際企業の掘削工事参加社数が6社、工事の費用は82億ドルだった。そのほとんどが、エジプト国民が購入した、スエズ・ボンドで賄われたのだ。
この第二スエズ運河の貫通式典では、IS(ISIL)やムスリム同胞団などによる、テロが懸念されていたし、私もそれを非常に心配していたが、無事に式典を終えることができた。
これはエジプトが世界に対して、安全確保ができる国として、高い評価を受けることにつながろう。そうなると、第二スエズ運河の両岸に計画されている、産業地帯の建設には、世界中から投資が、舞い込んでくるものと思われる。
最近の傾向を見ていると、なんでも金を出したがる、中国はもちろんのこと、ロシアもメドベージェフ首相が、投資を語っているし、慎重なイギリスも、積極的にエジプトにアプローチし、資源開発などに手を出し始めている。
さてそこで気になるのは、この第二スエズ運河の完成というニュースが、日本ではどう受け止められているか、ということだ。私に言わせれば、第二スエズ運河の完成は、エジプトに新しい時代を、もたらすものであり、地域全体にも、大きな変化を生むことであろう。
いま中東では、いい方向に向かっている国が二つあるが、その一つはイランであり、もう一つはエジプトであろう。その時代の変化を、もし日本人が感じないのであれば、日本には未来がないということではないのか。