いまトルコにシリアからの難民が、どれだけ滞在しているのか、ご存じだろうか。なんと、250万人を超えているというのだ。それは、トルコ国民人口の30パーセントに当たる、数なのだ。
そのうちの貧しい層は、イスタンブールやアンカラなどの大都市で物乞いをし、泥棒をして食いつないでいるのだ。そして、比較的恵まれているシリア難民は、トルコからヨーロッパに渡り、そこで定住したいと考えている。
シリア難民の中にはトルコに入国し、既にビジネスを手掛けて、成功している者たちもいる。つまり、一言でシリア難民とは言え、幾つもの種類の難民がおり、それぞれに問題を抱えて、苦しんでいるということだ。
ヨーロッパに渡りたいと願うシリア難民たちは、おのずから地中海やエーゲ海、マルマラ海に面した街に、集まってくるわけだが、最近ではイズミールが、その一大拠点となっている。
イズミールにいま集まっているシリア難民の数は、7万人にも上るそうだ。彼ら彼女らは、1000ドルから2000ドルを船主に支払い、ギリシャのどこかの島まで密航し、ヨーロッパ大陸に渡る、算段をしているのだ。
このためイズミールの街は、ホテルもショッピングセンターも、公園もバス停も、路上も、シリア難民の仮の棲家に、なってしまっている。そのことは、イズミールが観光で成り立っている街であることから、相当な被害を生み出しているのだ。
イズミール氏は何度も政府に苦情を述べ解決策を検討してもらおうとするのだが、何の解決策も取られていない。その意味では難民キャンプに住みついてくれている人たちの方がトルコの国民としては歓迎できるのかもしれない。
イズミールばかりではなく、アイドン市、ムーラ市、バルケシェル市、チャナッカレ市も同様の被害を、受けているのだ。このヨーロッパへの密航者を乗せる船主は、一日50万ドルの利益を、手にしているというのだから、たとえ各市から苦情が出ても、やめられまい。
ヨーロッパ諸国はトルコに対して、シリア難民救済を呼びかけているが、自国にシリア難民が入ってくることについては、極めて厳しい対応をしている。それにもかかわらず、今までに44000人のシリア難民が、ヨーロッパにたどり着いているということだ。
シリア難民の受け入れ問題は、人道的には騒がれても、受け入れる各国にとっては、経済的にも大きな負担となっていよう。トルコなどは受け入れている人数が多いだけに、大変な負担を強いられているということだ。