『遂に始まったリビアでカダフィ支持デモ』

2015年8月 5日

 

 何時か必ず出てくると思っていた、カダフィ支持デモが、遂にリビアの東部の町、ベンガジで起こった。それは、カダフィ体制が独裁であったかもしれないが、今に比べれば自由であり、物資も豊だったからだ。

 石油産出国のリビアの国民が、今では日々のパンに困るような生活に、陥っているのだ。しかも、国民は多くの武装グループの衝突で、危険にさらされているのだ。こうした状況が、既に4年も続いていると、誰もがカダフィ時代を、懐かしむはずだ。

 しかし、カダフィ体制を打倒したのは、誰の意志でもなく、リビアの全国民であり、いまさら元に戻そう、とは言い難い状態に、国内はあるのだろう。

 ベンガジでのデモには、どの程度の人数が参加したのか伝えられていないが、『アッラーのみ、、カダフィ、、リビア』というスローガンが叫ばれたということだ。このデモ隊に対して、一部のリビア人が発砲したり、投石したようだが、負傷者は一人も出ていない。そのことは多くの国民が、同じ気持ちでいるということの、証明ではないのか。

 デモ隊はカダフィ時代の、緑一色の国旗をはためかせてもいた、ということだ。こうなってくると、リビアの南西部のズインタンの部族がかくまっている(軟禁している)、カダフィ大佐の子息サイフルイスラームの価値は、おのずと上がって来ようし、彼を次の時代を作る政治的道具として、利用したいグループも出て来よう。

 リビアの今後は、まだ見えていないということであろう。アラブの春革命後、ほとんどの国の状況が、革命以前よりも悪化しているが、そのような状況の中から、回顧派が出てきても不思議ではあるまい。それはリビアに始まり、チュニジア、シリア、イラク、なども同じではないのか。