『トルコ人のIS(ISIL)メンバーからのメッセージ』

2015年8月21日

 

 IS(ISIL)といえば、シリアとイラクが本場のように思えるのだが、今では、IS(ISIL)はどこにも出没する、モンスターのような存在になっている。

 チュニジアでもリビアでも、アルジェリアでもアラブ湾岸諸国でも、西アジアでも、そして東南アジアにさえ、出没するようになった。

 トルコは今まで、影のスポンサーとして、IS(ISIL)を支援してきていたが、この段階になり、遂にIS(ISIL)のターゲットに、なったようだ。もちろん、それは部分的なものであって、全面的な敵対関係とは、いまだに信じがたいのだが。それだけトルコとIS(ISIL)の利害は、絡み合い複雑になっているのだ。

 アメリカや西側諸国が最近になり、真剣にIS(ISIL)対策を考え始め、アメリカはトルコの、インジルリク空軍基地からの、空爆を開始した。それと同時にアメリカはトルコに対して、IS(ISIL)に対する対応を迫っている。

 しかし、トルコはシリアのクルド対応と、アサド体制打倒に、IS(ISIL)を使いたいと考え、いままで支援してきているのだ。しかし、それもアメリカやヨーロッパの圧力の前では限界が来て、トルコは部分的な敵対関係を、IS(ISIL)との間にとり始めた。

 IS(ISIL)側にしてみれば、これは極めて不愉快なことであり、トルコにもIS(ISIL)の、細胞組織を結成した。トルコはもともとIS(ISIL)と同じ、スンニー派がほとんどの国であり、IS(ISIL)が入り込む余地はあったし、そのために秘密の関係が、続いてきてもいたのであろう。

 したがって、トルコ国民によるIS(ISIL)の組織結成は容易であり、何時でも可能だったということだ。それがやっと表面に顔を表したのだ。まさにトルコのIS(ISIL)メンバーが、彼らの顔を見せて、組織の存在をアピールし、トルコ政府の恫喝を始めたのだ。

 トルコのエルドアン大統領は裏切り者であり、IS(ISIL)が要求するユーフラテスの水を、シリアのラッカ市(IS(ISIL)が首都と指定している)に流す量を増やさなければ、イスタンブールを攻撃する、と言い出したのだ。

 このIS(ISIL)の宣言には多くの秘密が含まれていそうだ。第一には、ラッカ市を始めとして、シリア国内の水不足が、深刻な状態になっている、ということとだ。

第二には、IS(ISIL)がついにトルコを攻撃の標的にした、ということであり、今後の両者の関係の悪化は、拡大していく可能性がある、ということだ。それはトルコにとっても、IS(ISIL)にとっても、両刃の剣であろう。リスクはトルコとISA(ISIL)の、双方に発生するということだ。