トルコではいま、各地でテロが起こり、トルコ軍のヘリコプターも、撃墜されている。なかでも、トルコの南東部では警察署が、爆弾テロ攻撃され、警官が4人死亡しているし、イスタンブールでもテロ現場を調査中だった、警察の司令官が死亡している。
加えて、イスタンブールのアメリカ領事館が、爆弾テロに会い、8人が犠牲になっている。一説によれば、このアメリカ領事官に対するテロは、極左の女性テロリストが、犯行に及んだものだということだ。
しかし、それ以外のテロはほとんどが、PKK(クルド労働党)のメンバーによるもののようだ。PKK(クルド労働党)はこのところ、トルコ政府のクルドとIS(ISIL)のテロ行為を、阻止するという名目で、シリアのクルド地区や、PKK(クルド労働党)の本拠地である、イラク北部のカンデール山にある、PKK(クルド労働党基地)に対する、攻撃を強化している。
こうしたことから、PKK(クルド労働党)は既に、トルコ政府との共存の可能性は、無くなったとし、徹底的な攻勢に、出ているのかもしれない。時折、PKK(クルド労働党)の幹部の口を通じて、武力闘争を停止する、ということも出てきてはいるが、クルド人もトルコ人の誰も、それを信じてはいまい。
トルコによるPKK(クルド労働党)に対する攻撃で、PKK(クルド労働党)側は、多額の金と麻薬を焼失した、とも伝えられているが、そのことは今後の抵抗活動に、影響を与えるかもしれない。
現在のトルコの混沌とした状況下では、IS(ISIL)の関与はほとんど、考えられていないようだ。そうなると、問題はあくまでもトルコの国内問題、クルド対応にある、ということになる。クルドの政党DHPのデミルタシュ党首は、トルコ政府がIS(ISIL)と連携をし、クルド側に攻撃を加えているとして、激しく非難している。
現状を重く見たトルコの与野党は、与野党間の協力が必要だ、ということに気が付き始めたようだ。例えば、与党AKP寄りだとされる、MHPの党首は『CHPとAKPの連立内閣の組閣を急げ。』と語っている。
しかし、肝心のエルドアン大統領が、現状をどう考えているのかということが、トルコでは決定に大きく影響を、及ぼしている。彼は相変わらず、対クルドの道具として、IS(ISIL)は使える、と意識しているのではないか。それでは、クルド問題はますます、こじれることになるのだが。