『中東30年戦争時代』

2015年8月16日

 

―アラブを欧州の17世紀の世界にする計画―

 アメリカの中枢にいる人たちは、中東諸国をヨーロッパが17世紀に経験した、30年戦争時代に引きずり込もう、と考えているようだ。その中心をなしているのは、アメリカの外交評議会であり、そこに集まるアメリカの英知が、考えているということのようだ。

 この計画はラリー・グッドサン国防大学教授の『30年戦争』を元に進めているということだ。この計画によれは、中東諸国の混乱状態は、地域に新たな秩序が生まれるまで、続くということだ。

 中東諸国はその期間に、幾つもの国に分割され、戦争が続くことになる。そして、その状態に疲れた中東諸国は、西側諸国の介入を望み、事態の解決をしようとする。

 このラリー・グッドサン論文の前には、バーナード・ルイス氏の『中東再考』がCFRから発表されており、氏は中東が部族、政党、地域的対立などを繰り返し、分裂していくとしている。

 キッシンジャー博士もシリアが、バルカン化することを、望んでいたということのようだ。また、CFRのレスリー・ゲルブ氏は、イラクは分割されることが望ましい、と考えていたということだ。

 こうした中東の混乱への時代は、イランとアメリカの核合意が、本格的な始まりの、きっかけとなるようだ。

 以前、アメリカの退役大佐ラルフ・ピーターズ氏の発表した{新中東地図』を紹介したところ、それは佐々木の妄想に過ぎない、と評した愚かなインテリがいた。

 今回もまた、同じような受け止め方を、日本のインテリたちは、するのだろうか。日本人は日本人の常識、道義感などで、世の中が動いている、という考え方をする。しかし、世の中には自分の利益のために、何十万、何百万の人が犠牲になることに、何の抵抗も感じない人たちがいるのだ。それが世界の現実だ。