ロシアのエネルギー相であるアレクサンダー・ノヴァク氏は、黒海海底を通過する、ロシアからトルコ向けの、パイプ・ライン工事が遅延する、という見通しを明らかにした。
その理由は、ロシア・トルコ間の合意に、遅延が生じるようであれば、実質的に工事に、取り掛かれないからだ。問題はトルコ側がより多くのガスを、このパイプ・ラインを通じて、ロシアが送ることを望んでいるからだ。
当初は、パイプ・ライン工事が順調に進み、2017年には開通する見込みだった。そして、このパイプ・ラインを通じて、157・5億立方メートルのガスが、トルコに向けて送られる予定になっていた。
このパイプ・ラインはトルコ・ストリームと名づけられ、トルコからギリシャを経由し、2020年には南部ヨーロッパにも、ロシアからのガスが送られる予定であり、その総量は、630億立方メートルとされていた。
トルコがこのガス・パイプ・ラインを・完成させることが出来れば、ロシアがウクライナ経由のヨーロッパ向けガス供給を、止めることになっており、将来的には、ロシアからのヨーロッパの、ガス供給の首根っこを、つかむことになるのだ。
そのことは、トルコをヨーロッパ諸国に対し、優位に立たせることになろう。今回の、ロシア側のパイプ・ライン着工が遅延する理由は、トルコ側がロシアの考えよりも、多くのガスの供給を望んでおり、そのために工事の着工が、遅延したということになっている。
それも事実であろうが、何らかの働きかけが、ヨーロッパ側なかでもドイツからロシアンに対して、行われているのかもしれない。トルコがヨーロッパ向けガス供給ラインを、抑えるということは、トルコとの関係で、ヨーロッパをして戦略的に、非常に不利な立場に、立たせることになるからだ。
なにやら優位に見える、トルコのエネルギー事情にも、不安が無いわけではない。トルコが現在エネルギーを輸入している中心は、イランでありイラクだが、最近テロリストによって、イランからのガス・パイプ・ラインが破壊された。もちろんすぐに復旧されてはいるが、今後もこの手のテロ行為は、起こる可能性があるだけに、大きな懸念となっていよう
加えて、イラクのクルド地区から送られる、石油のパイプ・ラインも、テロ攻撃があり破壊されている。問題はイランからのガス供給は別として、イラクからの石油輸送は、単にトルコだけではなく、トルコのジェイハン港を通じて、ヨーロッパにも供給されているということだ。