『連立内閣の交渉が進む他方で与野党が汚職追求合戦』

2015年7月20日

 

 愛国党のMHPは早い段階で、連立に加わることはない、と連立参加を明確に断った。HDPについては、クルドの党であることから、与党AKP側が連立を、実質的に避けてきている。そうなると、残りはCHPとの連立、ということになる。

そのCHPAKPとの間で、この段階にきてスキャンダル暴露合戦が、始まっている。双方がお互いに市長などについて悪い噂を流し、汚職のスキャンダルを、でっち上げて(?)いるのだ。例えば、イスタンブールの市長の一人は、CHPの出身者だが、AKP側は彼が豪華なマンションを、幾つも所有している、これの裏には汚職が行われた、可能性があるのだろう、と言い出した。

CHP側も同様に、AKPメンバーの市長などについて、同じように汚職の噂を広げている。もちろんCHPAKPも、彼らは市長になる前から、十分に金を稼いでいたとし、現在金持ちであることは、市長の職権を乱用した、汚職の結果ではない、と言い張っている。そこでこの汚職問題が、CHP側によって国会の場に、持ち込まれることになった。

これだけ読んだのでは、何処にでもある政治家の、汚職疑惑ということになるのだが、それが検察や警察で捜査が進められるのではなく、国会の場に持ち込まれるというのが、最近のトルコらしい。

トルコの検察や警察は未だに、与党AKPの支配下にあり、AKPについては手抜きだが、野党に対しては厳しい捜査をしている。そこでCHPは国会の場で、この問題を討議しよう、と考えたわけだ。67日の選挙以前であれば、簡単に与党AKP側によって、拒否されたのだが、いまはそうは行かない。野党の合計議員数が、与党よりも多いからだ。したがって、野党のどこかが、問題を議会に持ち出せば、それを国会は討議することになるのだ。

それ以外の場面での現象でも、野党側が多くなったことが、少なからず影響を及ぼしていることが分かる。野党側は裁判所や警察検察に、正面切って文句を言い始めているのだ。裁判所も警察も検察も、明日は与党になる、あるいは連立与党になる、可能性が出てきている野党に対して、これまでとは違って、丁重な対応をせざるを得、なくなったということだ。

しかし、いまダウトール首相が必死の努力をしている、CHPとの連立工作の時期に、何故与野党の汚職スキャンダル合戦が、起こり始めたのだろうか。その裏には、何とか連立を潰して、選挙に持ち込もうと考える、エルドアン大統領の影が、ちらつくのだが。