サウジアラビア政府はイエメンに特殊部隊を派遣と聞くと、どうやら本格的に、イエメン侵攻が行われるような、イメージを受けるのだが、どうもそうではないようだ。
イエメンのアデン市が、ホウシ派の手からハーデイ元首相の軍の手に落ちたということで、元政府の閣僚や幹部が、アデン入りをするのを、サポートするようだ。それを派手にアピールして、イエメン国民に元政府の方が優位に立っていることを、印象付けようとしているのではないか。
アデン入りは元副スポークスマンのムハンマド・アリ・シャダ-ニ、元運輸相のバドル・ムバーラク・バサルマ、アリ・アルアハマデ将軍といったメンバーが、アデン入りをするのだが、サウジアラビアの特殊部隊員の数は、たった50人だということだ。
アデンの状況は完全にサウジアラビア側が、押さえているということからであろうか、特殊部隊員がたった50人というのは、腑に落ちない。
どうもイエメンの戦況は、必ずしもサウジアラビアが支援する、元政府側が完全に優位に立っている、とは言い切れない部分があるようだ。これに加えて、アルカーイダもイエメンの国土の、相当の面積を支配しており、三つ巴、四つ巴の戦闘になっているようだ。
サウジアラビアのイエメンに近い街、ジザーンのサウジアラビア軍の3基地が、ホウシ派などによってロケット攻撃されたし、サウジアラビア兵の中から戦闘中に、死者が出ているのだ。
サウジアラビアはアデンに特殊部隊の警護の下で、元政府の要人を送還しながら、イエメンの首都を空爆している。イエメン内戦では既に、3800人以上の国民が死亡しており、食糧事情も大幅に悪化しており、国連などによる医療支援も、ままならない状態にある。
どうも実情は、サウジアラビアによるイエメン反政府派撲滅には、相当の時間がかかる、ということではないか。その結果、サウジアラビア政府を弱体化していくかも知れない。サウジアラビア兵の死者が増えて行き、国民の間から不満が拡大していくかもしれないのだ。
加えて何百万ものイエメン人が、サウジアラビア国内には長期的に居住している。彼らのサウジアラビア政府に対する反発も、拡大していこう。サウジアラビアは国内の治安が非常に良く守られているために、反政府の動きは簡単には、表面化しないかもしれないが、それにも限界があるのではないか。