長期にわたる経済制裁の影響で、イラン国内では多くの機材が老朽化し、使用に耐えられない状態になっていた。工場の各種の機械に始まり、一般使用の機械、そしてインフラ、また大型の製油所などのような、施設も同様だった。
今回、核問題の交渉が一応の妥結を見たことにより、イランは基本的にこれらのものを、輸入することが出来るようになったということだ。なかでも、イランがいま一番必要なのは、旅客機であろう。政府の要人が乗る飛行機ですら、老朽化していて何時墜落するか、不安な状態になっていたのだ。
イランは航空機の部品を、闇ルートなどを通じて入手し、あるいは自国内で製造して、何とか飛べる状態にしていたのだ。以前、流れた情報ではいまイランが購入したい旅客機の数は、100機だとも200機だとも言うことだから、相当巨額な取引になろう。
アメリカは既に大分前から、イランに対する航空機の売込みを、やっていたようで、ここにきてそれが、具体的になりつつある。イラン政府は旅客機の購入に、200億ドルを充てているということだ。
反対に、イランからアメリカに輸出が予定されているのは、ピスタチオとペルシャ絨毯だというのだから、その貿易バランスはイランの入超が明らかだ、もちろん、将来的にはイランからの、石油・ガス輸出もあろうから、最終的にはバランスが、取れるのかも知れない。
この旅客機の取引を見ていて忘れられないのは、イラン・イラク戦争の最終段階で、アメリカ軍がイランの旅客機を撃墜し、270人以上の乗客とクルーが、犠牲になったことだ。
もちろん、アメリカはこの撃墜で、何の責任も取っていない。アメリカは外国の旅客機を撃墜し、乗客を大量に殺害しても、その罪を問われることなく、また商売が出来るのだ。イランとしてはヨーロッパやロシアから、旅客機を買いたいのであろうが、アメリカはその自由を与えないのであろう。
この旅客機のビジネスが進むなかで、次にアメリカがイランに押し売りをする、輸出所商品は兵器であろう。そして、それはアラブ湾岸諸国を、不安に落としいれ、アラブ湾岸諸国に大量の兵器を、輸入させることになり、加えて、中東の軍事政治バランスを、激変させるということであろう。
その次の段階では、アメリカに世界の警察官の役割を、やってほしいということか?