日本のテレビでは毎朝、殺人や窃盗などの犯罪ニュースが、繰り返し伝えられている。これでは日本は、犯罪国家のようなイメージを、日本人も外国人も、持つのではないか、と心配になる。
しかし、日本は世界レベルで考えると、いまだに豊かな国であり、安易に安全と食糧、そして住居を手にすることができている、というのが現実だ。
他方、世界では食料を得ることができない、最貧困層の人たちが、世界人口の多数を占めており、彼らは薬も教育も住居も、手にすることができないでいる。
中東ではシリアで内戦が続き、シリア難民の数はついに、400万人に達したと報じられている。シリアの隣国であるレバノンには、400万人の難民のうち、120万人が住んでいる。そこには、14歳から18歳の、教育を受けるべき年齢の子供たちが50万人も住んでいるのだ。
レバノンとシリアの国境に近い、ベカー高原にはシリア人難民キャンプがあるが、ノーベル賞を受賞したマララさん(そこに女性が教育を受ける権利を主張し、パキスタンで活動していたが、銃撃を受けその後受賞。)は、学校を建設することを決めた。彼女の18歳の誕生日を記念しての、決定だということだ。
マララさんは『世界のリーダーは弾丸ではなく、本を投資してください。』と呼びかけている。彼女は続けて訴えている。『難民の子供たちには、メッセージを送る必要もなければ、助言をする必要もない。必要なのは教育なのです。』
エジプトに行ったときに、エジプト人の友人が私に語ったことは『ある日本の自動車メーカーは、莫大な利益を上げているが、その金を銀行に貯金しているだけで、社会事業に寄付することも、新たな投資をすることも考えていない。』とあきれていた。彼はその資金で職業訓練所や、ビジネス・スクールを作ってほしいと語っていた。
日本人でシリア難民に学校を寄付したのは、衆議院の小池百合子さんだ。彼女は支持者たちに呼びかけ、1000万円の寄付を集め、トルコ南東部のハタイ県の街に、シリア難民の子供たちのために、学校を開校したのだ。その後の学校の運営費は年間で、700万円程度とのことだ。(この活動は超党派で議員に呼びかけ、多くの支持議員を集めている。)
312人のシリア難民の子供たちが、目を輝かせてそこで勉強し、シリア難民の先生12人が、教壇に立っていると聞いた。素晴らしいことではないか。しかし、残念なことに、彼女の努力に続く者は無く、彼女の学校設立を大々的に報じるテレビ局もない。
ある日、彼女が心配そうに電話をしてきた『あそこ安全ですかね?』彼女は学校を設立しただけではなく、その後の子供たちの安全も、気にかけていたのだ。私の答えは『中東はどこも危険だよ。それを考えていたら学校は開けない。開いてあげる方が重要だよ。』というものだった。
いいことは真似をしよう、それは恥ずかしいことではないのだから。いいことは皆に呼びかけて、大きな行動の輪にして、実現して行こう。500万円から1000万円のお金で、立派な学校が建つのだから。