『欧米が核交渉でイランに無理難題』

2015年7月12日

 

欧米、なかでもアメリカとイランとの間では、イランの核開発をめぐり、交渉が長期にわたって、継続されてきている。それは、イランが平和利用の核開発の範囲から逸脱し、核兵器を開発するのではないか、という疑惑から始まったものだ。

このことで、一番に強い懸念を抱いているのは、イスラエルであろう。イスラエルは本気でイランが核兵器を開発し、イスラエルに向けて発射する、と思い込んでいるのだ。

しかし、イランはイスラム国家であり、無差別殺戮の道具である、核兵器を開発する可能性は、ほとんど無いものと、私は信じているし、イランのハメネイ師を始めとする高官たちも、イランには核兵器を開発する意思は無い、と明言している。

こう言えば、それではイスラム国であるパキスタンは、なぜ核兵器を開発したのか、という疑問が沸いてこようが、それは敵対国であるインドが、先に核兵器を開発したことが、原因ではなかったのか。

パキスタンはインドに対する対抗上、核兵器を持たざるを得なかったのだ。しかし、それを使用する意図はほとんどなかろう。それはインドもパキスタンも同じであろう。つまり、核兵器はたとえ所有したとしても、ほとんど使われることは、無いということだ。

言ってみれば、いまアメリカが難癖をつけて行っている、イランとの核問題をめぐる交渉は、アメリカの都合で現実とは全く異なる意味で、行われているということだ。それに、ヨーロッパ諸国が付き合わせられている、ということではないのか。

今回、このアメリカのイランに対する、核兵器開発疑惑をめぐる交渉は、ほぼ最終段階に入った、といわれていた。だが、ここに来て、アメリカは理屈にはならないような無理難題を、イランに対して突きつけている。

そのことは、核兵器の開発疑惑についての交渉は、ほぼ終わったのだが、アメリカはもう少しイランとの間で、交渉の時間稼ぎをしたいからではないのか。アメリカが新たに突きつけた、イランに対する要求とは、『レバノンのヘズブラや、パレスチナのハマースに対する支援をやめろ。』というものだ。

レバノンのヘズブラに対するイランの支援や、パレスチナのハマースに対する支援は、核交渉とは全く分野の違う話であり、それは核交渉とは別個に、話し合われるべき、性質のものであろう。

一体、誰がイランの核交渉に、レバノンのヘズブラや、パレスチナのハマースに対する支援を、結び付けようとしたのであろうか。このことで一番利害が絡んでいるのは、イスラエルではないのか。イスラエルは自国の安全のために、欧米とイランとの間で進められていた、核交渉のテーブルの上に、ヘズブラとハマースを載せた、ということではないか。

 こうなると、国際会議なるものの正統性など、意味が無くなって来るのではないか。ついでにあれもこれも、と問題を引き出されたのでは、当事国であるイランにとっては、たまったものではなかろう。