『イスラエル軍レバノン侵攻に備える』

2015年7月11日

 

 イスラエル軍はレバノンへの軍事作戦を、遂行すべく備えているようだ。そのために、イスラエル軍は陸空軍共に、本格的な訓練を行っており、双方の協力調整も、行っているということだ。

 前回のレバノン戦争では、イスラエル軍はレバノン側に対し、大きな被害を与えることに、成功はしたものの、イスラエル側が受けた被害も、少なくなかった。死者もそれまでの戦争とは異なり、100人を超えていた。

 このため、前回のレバノン戦争の後、軍部や政治家の責任のなすり合いが続き、イスラエルは結局、戦争の結果について十分な反省と、分析が行われずじまいになっている。

 この失敗を反省し、今回は陸軍と空軍との間で、十分な調整を行い、各軍はイスラエル国内で、本格的な訓練を行っている。しかし、レバノン戦争が起これば、レバノン側ではヘズブラの部隊が、先の戦争後に補充した、中距離ミサイルなどを、大量に保有していることから、イスラエル側に相当な被害が出ることを、覚悟しなければなるまい。

 ところで、イスラエルは何故この時期に、レバノンに対する軍事行動を起こす必要が、あるのであろうか。イスラエルとレバノンとの間では、常に軍事的な緊張状態は続いているものの、特にいまということは、無いようなのだが。

 それは多分に、イランの動きやガザの動きに、影響されているのではないか。イスラエルにしてみれば、ガザからの本格的な攻撃が起こり、レバノン側からも起こった場合、対応のしようが無くなるからだ。加えて、シリア側からの攻撃も、考慮しなければなるまい。

 最近では、ガザにIS(ISIL)が侵入し、イスラエルに対する攻撃を、言い始めている。そのことは、イスラエルがいま、レバノンのヘズブラ、ガザのハマースやジハード、そしてIS(ISIL)と、シリア軍とシリアのイスラム原理主義テロリストを、相手に戦わなければならない、可能性があるということだ。

 イスラエル側の軍部は、次のレバノン戦争が、長期間に及ぶ可能性があることと、厳しい戦いになるであろうことを予測している。そうなれば、民主主義の国イスラエルでは、戦争反対の動きが起こるであろうから、それは戦争の足を、引っ張る結果になろう。

 国内には経済の悪化や、人種問題(エチオピア・ユダヤ人)などに対する、差別が大きな問題となっており、決して安定した状態にはない。国内が分裂状態にある中での戦争は、麻薬のような効果があろう。

国論を統一する意味では、外敵を設定することはいいのだが、下手をすればそれが、国内に分裂を生み出すし、経済的破綻も生み出そう。そして、経済的破綻は、ますます国内を混乱に、落とし入れていくことが予測できよう。イスラエルはいま、生か死かの瀬戸際に、立っているのかもしれない。