ガザではいま、ハマースとIS(ISIL)との対立が、激化している。IS(ISIL)側はハマースのイスラム法実践が、いい加減なものであるとして非難している。IS(ISIL)にしてみれば、彼らがシリアのパレスチナ難民キャンプの、ヤルムークで実施したような、イスラム法の徹底した順守を、すべきだということになるのだ。
そうした考えに基づき、IS(ISIL)はガザを彼らのコントロール下に置き、イスラム法を施行するだけではなく、イスラエルに対する本格的な攻撃も加える、ということのようだ。実際に、いままでハマースと対立するグループが、イスラエルに対するロケット攻撃を、実施している。
確かに、ハマース側はIS(ISIL)と関係のある、サラフィスト(イスラム原理主義者)のモスクを、幾つも破壊している。
イスラエルにロケット攻撃を加えたグループは、オマル・ブリゲードと名乗っており、ハマースを激しく非難してもいる。
IS(ISIL)と関係のある、このオマル・ブリゲードのメンバーは、『アッラーの望むようにイスラエルを根絶やしにしてやる。』と語り、加えて『ハマースやパレスチナ臨時政府も同様に、制裁を加える。』と語っている。
以前から書いてきたように、IS(ISIL)の戦闘員の参加目的は、千差万別であろう。金が目当ての者もいれば、女や麻薬が目当ての者もいようし、単に虐殺をしたい者もいよう。しかし、なかには本気でジハードをやろう、と思っている者も少なくなかろう。彼らの目からすれば、イスラエルは打倒すべき、敵だということになろう。
これからは、次第にIS(ISIL)のメンバーの中で、違う考えを持つ者同士の対立や、場合によっては殺し合いが、始まるのではないか。また、イスラエルに対する攻撃も、そうした流れの中で、一部のIS(ISL)メンバーによって、行われる危険性がある、ということではないのか。