IS(ISIL)がシナイ半島北部で、大攻勢に出たようだ。エジプト側に市民を含め、50人の死者が出たのだから、エジプト政府もただ事ではない、と重く受け止めているようだ。メルハブ首相は現状に付いて『戦争状態』と評し、徹底対応を覚悟したようだ。
このため、エジプト軍はシナイ半島の北部の、自軍を増派するのだが、イスラエル側もエジプトの状況を理解し、エジプト軍の増派に理解を示し、ネタニヤフ首相は『イスラエルはIS(ISIL)との戦いで、エジプトは同じ側に立っているパートナーだ。』と語っている。
確かにそうであろう。イスラエルに隣接するガザでは、IS(ISIL)がハマースに挑戦する形になっており、IS(ISIL)はハマースを打倒する、と言い出しているのだ。もちろん、ハマース側はこれに対し、全面対決姿勢を打ち出している。
IS(ISIL)はガザのハマースだけではなく。イスラエルもターゲットだ、としていることから、時間の問題でIS(ISIL)によるガザからの、イスラエルに対する攻撃が、始まるかもしれない。
エジプトではシナイ半島ばかりではなく、北アフリカ大陸側の幾つかの町で、IS(ISIL)によるテロが起こっており、エジプト政府はこの対応にも追われている。つい最近、エジプト軍はカイロ市の郊外で、IS(ISIL)掃討作戦を実施し、9人のテロリストを殺害したことを公表している。
IS(ISIL)は最近になって、シリアやイラクよりも、それ以外のアラブ諸国に関心を、示しているのかもしれない。エジプトがその対象であろうし、湾岸もその対象になっている。
サウジアラビアではIS(ISIL)とワハビー派の連携も、起こりうる状況になってきているのではないか。ヨーロッパでもムスリムに対する、差別と警戒感が強まっているが、それに反発するムスリムの中に、IS(ISIL)を支持する者が増えている、という報告もある。
どうもIS(ISIL)をめぐるニュースを追っていると、状況は悪化しているのかもしれない。ただIS(ISIL)の活動範囲が広がるにつれ、力が分散し薄められつつあるような気も、しないではない。