エジプト生まれで、現在はフランス国籍を持つ、ジャーナリストであるアライン・グレシュ氏が、イランに対する制裁が解除された後の、中東についてインタビューに答えている。
彼の発言によれば、イランに対する制裁は、40年の長きに及んだが、間も無く解除されるということだ。そして、その後には、中東地域に大きな変化が、生まれると語っている。
第一の変化は、イランとサウジアラビアとの関係だ。サウジアラビアはこれまで、イランを敵視してきたが、制裁が解除されると、サウジアラビアに同調する国は、激変するだろうという見通しだ。
多くの国々は、イランとの貿易を促進させて、自国の利益を図ることに専念し、サウジアラビアの主張を、聞き入れなくなるだろう、ということだ。そうしたなかで、唯一サウジアラビアと同じような、イラン敵視を続けるのは、イスラエルだ。
イスラエルはイランの危険さを、世界に訴えることにより、自国のパレスチナ人に対する弾圧政策を、ごまかしてきたし、イランの核問題を主張することにより、自国の核問題を隠してきていた。
しかし、イランに対する制裁が解除されれば、イスラエルのパレスチナ政策が、あたかも南アフリカが行っていた、アパルトヘイトに通じるとして、世界から非難を受けよう。
また、イスラエルが公表を拒否してきた、核兵器の存在についても、追求の手が伸びるということであろう。そうなれば、イスラエルはこれまでのような、隠蔽工作だけでは、ごまかしきれなくなろう。
アメリカはイランに対する、制裁を解除した後は、アフガニスタンの問題処理に、イランの協力を仰がなければなるまいし、イラクやシリアの問題でも、同様であろう。
ここでもサウジアラビアは、窮地に追い込まれることになろう。そもそもシリアで暴れているヌスラや、イエメンで暴れているアルカーイダは、サウジアラビアの支援を受けているのだ、とアライン・グレシュ氏は語っている。
サウジアラビアが主張する、スンニー派対シーア派の対立も、現実には宗教的な問題ではなく、あくまでも政治的な問題として、創り上げられたものだということだ。この問題はパーレビ国王の時代から、サウジアラビアとイランとの間には、存在したということだ。
このような変化を前に、一定の役割を期待できるのは、トルコでありエジプトだ、とアライン・グレシュ氏は主張する。トルコは経済的力と軍事力があるからであろう。またエジプトについても、同様に軍事的な力が、評価されるものと思われる。