『ギュル前大統領遂に新党旗揚げか』

2015年6月18日

 

 混沌するトルコの国内政治状況の中で、ギュル前大統領がどのような行動に出るのかが、一つの目玉になっていた。それは野党連合が政権を握れば、一見落着なのだが、MHPHDPとの間の問題があり、スムーズにはいかない、という不安があるからだ。

 述べるまでもなく、エルドアン大統領は再選挙をして、勝利したいと考えている。選挙も2度目ともなると、政府の金を使って選挙運動ができる、与党AKPが絶対的に、有利だからであろう。 

 そうした流れの中では、せっかく与党AKPの過半数割れに成功した、反政府の国民や野党としてはたまらない。そこで期待されていたのが、ギュル前大統領の動きだった。彼の支持者は与党AKPの中に、いまだに60パーセント以上いるといわれている。

 そこで、ギュル前大統領が新党を立ち上げれば、そうでなくても過半数を割った、与党AKPの議員数は、半減する可能性があるのだ。すでに、ギュル前大統領の新党結成を促す、政界の要人たちが動き出している。たとえば、元内務相のエフカン・アラ議員、大統領代理だった、アハメト・セヴェル氏などがそれだ。

 加えて、財界からもギュル前大統領の、新党結成を促す大物たちが、ギュル前大統領との会合を行っている。例えば、財閥の大物中の大物、コチ・グループ会長、サバンジ・ホールデング会長などがそうだ。

 この動きには、さすがのエルドアン大統領も、ダウトール首相も、頭を抱えだしているようだ。多くの与党を含む国会議員や、ビジネスマンがギュル前大統領の支持に、具体的な行動を、起こし始めているからだ。

 加えて、ギュル前大統領のアドバイザーを、12年間務めたセヴェルという、人物が、トルコ政界の暴露本とも呼べる本を、出版したのだからたまらない。その中には、今まで明かされなかった、エルドアン大統領やダウトール首相にまつわる、多くのスキャンダラスな内容が、含まれているものと思われる。

 一説には、ギュル前大統領がすでに、新党を結成しており、それを公表するタイミングを、待っているだけだということだ。