『テルアビヤドの戦いクルド優位エルドアン怒り』

2015年6月15日

 

 トルコの国境に近い、シリア北部の町テルアビヤドは、IS(ISIL)が占領支配していた。しかし、今回の戦闘でシリア軍とクルド軍の、合同軍がIS(ISIL)に対し、優位に戦いIS(ISIL)は後退気味だ。

 この戦況を知った、トルコのエルドアン大統領は、怒り心頭のようだ。それはエルドアン大統領にしてみれば、無理もないことであろう。トルコとシリア国境にあるテルアビヤドが、クルドのよって落とされれば、将来、クルド人がシリアから分離した際に、トルコのクルドにも大きな影響を、与えるからだ。

 その後は、イラクのクルド、トルコのクルド、そしてシリアのクルドが、自分たちの国をこの地域に、樹立する可能性が高いからだ。

 しかし、現段階ではエルドアン大統領には自由が無い.国内の政治が混沌としており、自分の好きなようには動けないからだ。加えて、トルコ軍はトルコの国内政治の混沌を前に、様子見ということか、最近エルドアン大統領の意のままには、動かなくなっている。

 また、今回の選挙でクルドのHDP党が勝利したことも、エルドアン大統領にとっては、不都合極まりないことであろう。勢いづくクルド人たちは、大規模デモを起こす可能性もあろう。

 エルドアン大統領は一日も早く、野党各党の連立失敗を見て、再選挙に打って出たいところであろう。しかし、それも不明確な要素が多いのだ。野党は閣僚の汚職再裁判を叫び、エルドアン大統領にとっては、何人もの敵を前に、戦うような心境であろう。

 一人の人物が運を逃したとき、思いもかけなかったような、不都合なことが重なって、起きるのかもしれない。いまのエルドアン大統領は、まさにそうした状態に、あるのではないか。

 見逃してならないことは、エルドアン大統領に対して、好意的な見方をしていたアメリカが、最近、極めて冷静に批判するように、なっていることだ。ヨーロッパ諸国はアメリカよりも、明確に反エルドアンの立場を示している。そのことはトルコ国民も、十分知っているのだ。