『エルドアンは再選挙に賭けたか』

2015年6月13日

 

 トルコのいまは熱い、選挙が終わり与党AKPは、明らかな敗北を喫し、過半数の議席を取ることが、出来なかった。その結果、トルコではいま、野党が連立内閣を結成できるのか、それが出来ずに選挙を、やり直すのかが語られ、水面下では与党AKPを含む各党間の、交渉が行なわれているようだ。

 与党AKPも野党との連立を、模索しているのだが、野党はCHPMHPHDPも、それぞれの立場から与党AKPとの連立には、踏み出し難いようだ。しかし、野党間でもMHPHDPは、絶対連立を組まないということを、MHPの幹部が語っている。

 当然であろう、MHPは民族派の右派政党であり、PKK(クルド労働党)と関係の深いHDPとは、連立を組めないのが当たり前なのだ。

 結局のところ、いずれの間でも連立政権は成立せず、再選挙になる可能性が高そうだ。それをエルドアン大統領は、狙っているのであろうといわれている。 

これまで散々他党や他国に対して、悪口を繰り返してきたエルドアン大統領が、このところ静かになっているのは、次の選挙に向けてのものであろう、とAKP内部から漏れてきている。

エルドアン大統領は野党間の、連立がうまく行かず、選挙になることを望んでおり、その可能性が高いと踏んでいるのは、次のようなことからであろう。 

つまり、野党の連立に時間がかかり、外国のトルコに対する投資は、政治的不安を理由に、引き上げていく。国内産業も運行停止に近い状態になる。そうなれば国民は、やはり与党AKPが政権を握らなければ駄目だ、という判断を下し、次の選挙では確実に、与党AKPが過半数を取れるということだ。

過去の例を見ると、政権の腐敗を非難して、野党連立内閣が結成されたことがあるが、いずれもうまく行っていなかったようだ。その結果、連立内閣内の対立が激化し、連立内閣は国家の運営が、出来ない状態になる。

そうなれば社会は混乱し、その混乱に乗じて、軍がクーデターを起こしてきた、というのが今までの、パターンだったようだ。そのことを承知で、ダウトール首相は選挙を優先する考えになり、連立を語らなくなってきている、といわれている。

そのようなトルコ政治の歴史的経緯と、エルドアン大統領の性格、トルコ国民の性格を熟知しているからこそ、ギュル前大統領は連立を急げ、と語っているのだ。

再選挙には金がかかることは必定だが、野党にはそれだけの選挙資金が、あるのだろうか。フィッチは既に、トルコのレートを下げている。