『中東の重要なニュース短信』

2015年6月12日

 

 その日によって重要と思われるニュースが、幾つも届く場合がある。それをいちいち解説していたのでは何本ものブログを発信することになる。それで重要と思われるものをお伝えし、短くコメントすることにした。

 

:トルコがシリア難民の入国を規制。

シリア北部ではクルド・ミリシアと、IS(ISIL)との間で激しい戦闘が、繰り返されている。そのため多くのシリア難民が、トルコに避難してきている。

 これまでトルコ政府は、無制限にシリア難民を、受け入れてきていたが、シリア難民の流入で問題が起きてきているために、今回は入国を制限することに、なったようだ。シリア難民による、安い賃金での就労は、トルコ人の仕事を奪っている。

シリア難民が無許可で開店する店舗は、税金を納めていないために、トルコの商店主たちとの間に、不満が高まっている。シリア難民の流入は彼らの、路上でのひったくりや物乞いが、観光産業にダメージを与えている、というようなものだ。

それ以外にもシリアの若者とトルコの若者との間の暴力事件も起きているがその場合トルコの警察はシリア人に甘い対応をしている。当然そのことは、トルコ人の間に不満を募らせ、シリア難民嫌悪の感情が高まっている。

トルコ政府はシリア難民の受け入れについて、今後も人道的な理由がある場合には受け入れると語っている。つまり、けが人や病人は、受け入れるということであろう。

 

:バハレーンをめぐる湾岸外相会議開催。

 サウジアラビアの首都リヤド市で、バハレーンの治安をめぐる、会議が開催された。議長は、カタールの外相ハーリド・アテイヤ氏が務めた。

 バハレーンの国内状況が、相当悪化してきているからであろうが、会議ではリビアやイラクシリアについても、討議がなされたようだ。

 バハレーンはサウジアラビアの、出島のような立場にあるだけに、サウジアラビアにとっては、バハレーンの治安の悪化は、国内問題同様に、関心が高いのであろう。加えて、サウジアラビアの治安も悪化しており、バハレーンの治安悪化と結びつくと、危険度は一層高まろう。

 

:エジプトの経済状態にBランクが与えられる

フィッチはエジプトの経済状態を分析し、Bランクを与えた。

 エジプトは初めてドル建てのボンドを、15億ドル発行することになったが、それを支える効果が、あるかもしれない。

 このボンドは5年償還で、6パーセントの金利となっている。

 

CHP元党首が議会で汚職調査できると語る。

 トルコの野党CHOの元党首は、最近エルドアン大統領と対談しているが、その時のテーマは、連立内閣問題であったようだ。

 しかし、エルドアン大統領の態度が悪かったのか、この対談の後で、2013年に露見したエルドアン大統領と、4人の閣僚と子息たちの関わった、汚職問題の追及は議会でもできる、と言い出している。

 これでは与党AKPと野党CHPの、連立は成立しないだろう。もう一つの野党、クルドのHDPも、AKPとは連立しない、と明言している。