6月7日には、トルコ全土で選挙が行われるが、選挙結果は大分与党AKPにとって、厳しいものになっているようだ。夕食を共にしたあるトルコ人の友人は、政府に勤めるアンカラの友人から電話があり、次の就職の斡旋を頼まれたということだ。
それは与党が選挙で敗北した場合、エルドアン大統領に近かった者ほど、国民から敵意を持たれ、仕事が見つかり難くなるからだということだ。そのアンカラの人物は、与党AKPに対する支持率は38パーセントを切った、という情報を伝えてきたということだ。
この数値は政府内部のものであり、相当正確なものであろう。そうなると良くて連立内閣、悪ければAKPは政権を手放し、幹部は裁判にかけられることになろう。もちろん、その場合の筆頭は、エルドアン大統領と彼の家族、ということになろう。
これまでのエルドアン大統領の強権支配は、膨大な数の敵を作っているし、彼の犠牲になり負傷したり、死亡した者の数も多数いるからだ。加えて、職を追われた軍人、検察官、警察官、裁判官、ジャーナリストの数もおびただしいし、それらの多くが投獄されてもいるのだ。
ここにきて、またエルドアン大統領の強権が発動された。それはトルコ南東部のデヤルバクルで、クルド人の政治デモに政府の圧力が及び、多数が死傷したのだ。そして、与党AKP結党時の中心人物だった、ギュル前大統領の兄が経営する会社が、脱税容疑で挙げられた。この場合は、ギュル前大統領が選挙後に、新党を結成するという噂が、原因だったろうといわれている。
加えて、シリアの新聞はトルコの情報部MITが、麻薬や金銭を取り戦闘員を、IS(ISIL)側に送っていたことをばらした。これまでも、MITによるIS(IOSIL)への武器供与の報道が、トルコ国内で繰り返されていたが、それが外国からも及ん出来た、ということであろう。
ヨーロッパ諸国は既に、トルコに選挙監視員を送っているが、報道に対するエルドアン大統領の弾圧政策に対しても、厳しい批判を繰り返している。このままで行けば、たとえごまかして、与党AKPが選挙で勝利したことにしても、簡単には収まるまい。それどころか選挙結果によっては、トルコ国内が騒然とした状況になろう。