『トルコ選挙投票日が間近』

2015年6月 1日

 

 トルコの選挙投票日が1週間を切っている。6月7日はすぐにやってくる。そこで最終の予測となるだろうことを、書いてみることにした。トルコの与党AKPの強さはルール無視の結果と、トルコ人の頑迷さにあろう。

 したがって、現段階では与党AKPが勝利する、と書くべきであろうが、どうしても納得がいかないので、私見を述べることにした。現在のトルコは与党AKPの統治の下で、トルコ国民の多くが苦しんでいるのだ。

 それは失業問題にあろう。トルコ政府の発表では、トルコの失業率は11・2パーセントということになっているが若者の失業率はもっと悪く、20パーセントを超えている。

 トルコでは失業や貧困化が進み、野党CHPは失業問題や貧困問題を、選挙の主要なスロ-ガンに、掲げているほどだ。

 多くの優秀な大学卒業生は、教員職に就く機会が、どんどんせばめられており、失業状態にある。その一因はヒズメトが経営する学校を、政府が閉鎖したことによろう。

もう一つの問題は、シリア難民を受け入れた結果、シリア難民がトルコ人の労働の機会を、奪っていることだ。トルコ人労働者が月給376ドルで仕事をするが、同じ仕事をシリア難民は、113ドルで受けるというのだから、どうにもならないのだ。

 トルコの南東部には、多くのシリア難民が入っているが、そこではトルコ人の失業率が、30パーセントを超えているということだ。トルコ政府がこうした状況に、何の手立てもしていないことが、選挙に影響するのではないかと思われる。

 加えて、トルコの南東部で起こる、シリア難民とトルコ人とのトラブルでは、警察はトルコ人に対して厳しく、シリア難民については、甘い対応をしていることが、現地住民の間で不満を募らせてもいる。

 トルコ政府とすれば、トルコの国際的なイメージをよくしよう、ということであろうが、それは国民の不満を膨らませることに、つながっているのだ。国民が生活苦に追い込まれている中で、トルコ政府はシリア難民に、これまで56億ドルを費やしたという報告がなされている。

 また、シリア難民が勝手に開店する店は、税金を払っていない。シリア難民が店を開店することも、政府が黙認しているのだ。現在トルコには200万人のシリア難民がいるとされているが、実数はそれよりも多いだろうというのが、一般的な推測だ。

 トルコ国民はシリア難民のために、経済が悪化したと考えているのは、70パーセント以上であり、60パーセントの国民は自国民が貧困にあえぐ中での、シリア難民への援助に不満を抱いている。

トルコ国民の30パーセントは、このためシリア難民を、シリアに帰国させるべきだと考えている。シリア難民が諸問題の元凶だ、とするトルコ国民の割合は、77パーセントに及んでおり、トルコ南東部ではそれが、82パーセントを超えている。

当然のことながら、トルコ国民はシリア難民に、トルコ国籍を与えることに反対であり、その割合は84パーセントに達している。こうした不満が、今回の選挙でどう影響するのか、現段階では与党AKP に対する支持が、1・8パーセント減っているということだ。