『OPECはどう動くか・石油価格の今後は』

2015年6月 5日

 

 連日石油の話になるが、日本の円が120円の後半のレベルになって来ると、石油価格がどう動くかということが、非常に大きな問題になって来よう。一時期のような、70円台ならば石油価格が少しぐらい上昇しても、日本の経済にはあまり影響を与えなかったが、今は違うのではないか。

 石油価格が安値を続けているのは、サウジアラビアが市場を押さえたいことと、アメリカのシェール・オイル生産によるのだが、そればかりではないのではないか、と思えてならない。

 6月にはOPEC会議が予定されているが、そこでは産油諸国の台所事情が露骨に顔を出すのではないか。つまり、資金的に窮地に追い込まれてきている国と、余裕のある国との対立が、鮮明化するだろうということだ。 

 余裕のある国は、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、クウエイト、カタールなどであり、これらの国は資金を貯め込んできてもいる関係と、生産原価が10ドル/バーレル台ということもあり、あわてる必要がないのだ。

他方、ベネズエラ、イラク、イラン、リビア、アルジェリア、ナイジェリア、アンゴラ、エクアドール、などは財政がひっ迫しており、少しでも石油価格を、引き上げたいと考えている。OPECメンバーではないが、ロシアもしかりであろう。

 そのロシアだが、サウジアラビアはロシアが生産を押さえ、サウジアラビアの市場を奪わないのであれば、自国も生産を抑えて、価格を引き上げることに反対しない、ということを言い出している。

 石油の価格がOPEC諸国の合意で、生産削減されて上がれば、加盟国は喜ぶのだろうが、その上げ幅が難しいだろう。サウジアラビアの戦略で、40ドル台に値上がりした石油価格を、60ドル台で抑えられれば、オイル・シェールの採算価格以下であり、大成功ということになろうが、なかなかそうはいかないのではないか。

 オイル・シェールの採算価格は、場所により異なるようだが、大体60ドル台から80ドル台のようだ。多分、70ドル以上がほとんどであろうから、60ドル台を維持できれば、OPECが勝てるということだ。

 しかし、値段は投機筋の介入もあるわけだから、異常に高くなって、そのあと異常に価格を下げるということもあろう。石油価格はすでに、生産国の手を離れているのだから、OPECの影響力は限られているのではないか。それにしても、今後一波乱ありそうだということだけは、確かなようだ。