『シリアではIS(ISIL)が後退気味』

2015年6月23日

 

 シリアではIS(ISIL)が、シリア軍やクルドのミリシアの攻勢を受けて、後退気味だ。なかでも、IS(ISIL)がイスラム国家の首都と定めている、シリアのラッカ市の周辺での戦闘で、IS(ISIL)側の後退が気にかかる。

 ラッカ市のそばの、IS(ISIL)の基地を攻略したのは、クルドのミリシア部隊であり、特別な秘密もないようだ。つまり、通常の武器を使った戦闘で、IS(ISIL)がクルドのミリシアに、押され気味だということだ。

 同じように、シリア軍がパルミラの遺跡の一部の奪取に向かい、支配していたIS(ISIL)に対し攻勢をかけ、パルミラの近郊の拠点の一部を、奪還したようだ。

 この作戦では、シリアが維持できていた、小規模の石油施設を、奪還した模様であり、IS(ISIL)側の輸送ルートも、遮断できたようだ。

 なぜ今こうしたIS(ISIL)攻撃が、シリア軍やクルドのミリシアの手によって、可能になってきたのであろうか。考えられることは、IS(ISIL)内部の統率が乱れてきている、ということであり、それはIS(ISIL)のリーダーである、アブーバクル・バグダーデイが重傷を負い、彼の後継と思われていた、アルフィが死亡したことによるのではないか。

加えて、IS(ISIL)に加わって、軍事部門を指揮していた、イラクのバアス党幹部だった、イッザト・イブラーヒーム将軍が死亡している。そして、IS(ISIL)の金庫番であり、石油や遺物その他の、闇取引を仕切っていた、資金担当である、ユーセフの死亡が影響したのではないか。

単純に考えれば、IS(ISIL)の頭脳部分が、ほとんど壊れてしまい、いまIS(ISIL)は機能しなくなっているということだ。これでは、IS(ISIL)の戦闘員に対する、給与の支払いも、滞りがちになっているのではないか。また食料の支給にも、事欠いているのではないだろうか。

加えて、夏の暑さがヨーロッパなどから来た、戦闘員を苦しめているのかもしれない。IS(ISIL)が新たな戦場と指定したリビアでも、決して戦果は上がっていない。それどころか、 

リビア国内のイスラム原理組織が、完全にIS(ISIL)の敵に、回ってしまっている。これではリビアの石油を支配して、金を稼ごうという計画は進むまい。現在の状態はIS(ISIL)にとって、弱り目に祟り目なのか。