フランスのパリでイラク問題をめぐる、20か国会議が開催された。その結果、各参加国はイラクのIS(ISIL)問題の処理を、急ぐことで合意した。具体的には、最近ダメージが増えているIS(ISIL)による特攻攻撃を防ぐために、アメリカはイラクに対して、対戦車砲の供与を行うことを決めた。
イラクのアバデイ首相は各参加国の、協力的な姿勢に満足したようだ。現状では、アメリカ軍の空爆が行われてなお、IS(ISIL)は支配地を拡大しているようだが、その流れが変わるということであろう。
会議が終了した後で、アメリカ代表のビルキン氏は、問題は戦闘員の流入と石油の密輸にあると語り、それを阻止する必要があると認識している。IS(ISIL)側の戦闘員として世界から入ってくる者たちは、トルコ領土を経由しているわけだから、今後、トルコに対する会議参加各国の締め付けは、強まっていくものと思われる。
もう一つの、IS(ISIL)による石油の密輸も、結局のところトルコを経由して、行われているわけであり、この点についても、今後、会議参加各国はトルコに、厳重に取り締まるよう、働きかけるものと思われる。
こうしたトルコのIS(ISIL)支援が、明確な形で語られたことは、これまでの不明確な対応から、一歩前進したものと思われる。これまでは、トルコがIS(ISIL)に対して武器を密輸しようが、石油の密輸の仲介をしようが、明確な非難はなされていなかったからだ。
アメリカは今後、IS(ISIL)対応のために、イラクの各部族や軍隊に対し、武器の供与を進めると同時に、軍事訓練も施す予定だ。アメリカ側によって軍事訓練を受ける対象は、イラクの軍であり警察だ。加えて資金的な協力もする、とアメリカ側は言い出している。
資金的な協力が必要なのは、IS(ISIL)側が資金的に潤沢であり。戦闘員に対して高給を支払っているために、イラクのスンニー派の若者などが、IS(ISIL)の戦列に加わっていることに対する、対応策であろう。
昨年に比べ、IS(ISIL)は現在イラクの25パーセント程度の領土を、支配しているといわれており、相変わらず残虐な戦いぶりを展開しており、組織が拡大しており、資金的にも余裕がある、ということのようだ。
最近では、イラン軍がイラクでのIS(ISIL)との戦闘に参加し、存在感を強くしているが、そのことはイラク国内の、スンニー派対シーア派の対立を、あおることにもつながる、危険性がある。そこでアメリカは大急ぎで、イラクと合同軍による、IS(ISIL)対応をしなければならないということだ。
さてそのために、アメリカはIS(ISIL)による、石油の密輸と武器の調達、そして戦闘員の通過を認めているトルコに、どのような要求を突き付けるのであるか。トルコの選挙は6月7日だが、その前に明らかな動きが生まれるのであろうか。