6月7日に行われたトルコの選挙結果は、与党AKPにとって、まさに敗北であったろう。前回の選挙よりも、獲得票数が40・6パーセントに落ち込み(前回は49・85パーセントだったと思う)当選議員数も、257人に減っている。
これでは単独過半数内閣は作れず、どこかの党と連立しなければならなくなった、ということだ。そこで考えられるのは、野党第一党のCHP は、左翼系であることから、連立は成立しえず、次の政党MHPとの連立が考えられよう。MHPは現段階では連立に関して、コメントを避けている。つまり、CHPとの連立も、AKPとの連立のありうる、ということではないのか。
そうなると、エルドアン大統領は汚職で貯め込んだ、私財の相当部分を、MHPの党首に渡して、抱き込みをやる可能性があろう。あるいは自分の私財ではなく、国庫の金を引き出して、抱き込み資金にするかもしれない。
また、力ずくで野党議員たちに、濡れ衣を着せ選挙違反だ、として落選させることもあり得よう。エルドアン大統領は得意の汚職容疑で、野党議員や野党を締め上げるかもしれない。
もう一つありうるのは、過半数を割ったにもかかわらず、エルドアン大統領が大統領命令で、AKPに内閣を作らせて、力づくで押し切る、というパターンだ。その場合には、新政府が野党狩り、反政府系の各組織に対する、大弾圧を展開するであろう。
ただそれで事が済むとは思えない。だんまりを決め込んでいた軍や警察、検察、裁判官が、一体となって反エルドアンの動きに、出るかもしれない。そうでなければ、トルコ国内は血を見ることになる、危険性が高いからだ。トルコ人は我慢強いが彼らの血は、日本人ほど冷たくはないのだ。
またクルドの政党HDPは、今回の選挙で79議席を確保したこともあり、選挙結果を台無しにするようなことは認めまい。彼らもエルドアン大統領に対する怒りを、爆発させる可能性が高かろう。