オーストリアのウイーンで開催されている、OPECセミナーでベネズエラのアスドルバル・チャベス石油相が、『妥当な石油価格は75ドルから80ドルだ。』と語った。
彼のこの価格に関する論拠は、現状で妥当なものだとしている。
これに呼応して、イラクのアーデル・アブドルマハデイ石油相も、『石油価格は75ドルから80ドルが妥当だ。』とし、イラクとベネズエラは、同じ立場に立っていることを強調した。
現在、ベネズエラとイラクは石油価格の暴落が、自国の経済に大きなダメージを与えていることから、こうした意見が出てきたのであろう。ただ、忘れてならないのは、ロシアやイランも現在の石油価格が、あまりにも安いということで、強い不満を抱いているということだ。
現在の石油価格の安値の原因は、アメリカのシェール・オイル開発や、サウジアラビアの市場拡大を狙った、値下げ攻勢によるものだといわれているが、結果的には産油国の消費が冷え込み、先進国の輸出にも影響が出るために、石油価格の大幅な値下がりは、世界中の国々にとって、不都合なのかもしれない。
そうであるとすれば、OPEC加盟諸国からサウジアラビアに対して、安値を維持しようとすることに対する、反対意見が出てくる可能性があろう。そのように状況が推移していけば、サウジアラビアが独断で安値を維持することは、厳しい状況になっていくかも知れない。
今年の秋から冬にかけて、石油価格が値上がりする可能性が、出てきたということであろう。そのことと世界の経済とが、どう関係しあって、次の世界の経済状況を作っていくのか、気にかかるところだ。