以前から噂されてきたことだが、どうもエルドアン大統領とトルコ軍との間は、うまく行っていないようだ。エルドアン大統領は自分の汚職隠しと、敵対勢力を潰すためには、何でもする意向であり、これまで多くの警察官、検事、裁判官が更迭されたり、失職させられたりしている。
エルドアン大統領とトルコ軍との間に、軋みが聞こえ始めたのには、主に三つの理由がある。
第一の問題は、トルコ軍のシリア派兵問題であり、トルコ軍はそれを望んでいない。しかし、エルドアン大統領はなんとしても、シリアのアサド体制を打倒したいために、トルコ軍のシリア派兵をしたい意向のようだ。もちろん表向きには、トルコ政府にはその意思がない、ということになっている。
この問題をめぐって、軍のトップであるオゼル将軍が、病気治療を口実に、休暇を取った。確かに彼には健康上の問題があり、手術を受け成功に終わっている。どうやら心臓に問題があったようだ。
しかし、オゼル将軍の休暇には、シリア派兵問題が絡んでいるとして、エルドアン大統領は8月の軍幹部会議で、彼を首にする意向のようであり、その後釜には、フルシー・アスカル将軍が納まりそうだ。
第二の問題は、エルドアン大統領とトルコ軍との問題は、軍幹部に対する締め付けで、ギュレン組織(ヒズメト)とかかわりがあるとされた、軍幹部が多数更迭されたことだ。
第三の問題は、ハタイなどを経由して、MITがIS(ISIL)などイスラム過激派に、大量の武器を送ったことだ。当然のことながら、トルコ軍はこれを阻止しようとしたが、政府のトップの意向ということで、黙認させられた。
その後、時間が経過してこの問題が、マスコミで騒がれるようになり、野党の政府攻撃の格好の口実になると、エルドアン大統領は国境警備軍の責任者たちを、逮捕し投獄したのだ。
それらの問題が、今後軍の立場を硬化させていくかもしれない。また、それがクーデターに繋がる、可能性があるかもしれない。トルコの一部マスコミ関係者は『エルドアンはモルシーの轍を踏んでいる。』と書いている。
つまり、エジプトのモルシー大統領がクーデターで、大統領の座から追われたように、エルドアン大統領もトルコの大統領の座から、追われる可能性がある、ということだ。