エジプトから何年振りかで、いいニュースが伝わってきた。それは、エジプトの経済が少しずつ改善していく、という見通しだ。ぜひそうあってほしいと思う。日本人の多くがエジプトの社会的安定を望み、長い歴史の遺産を、見に行きたいと望んでいる。
エジプト人は本来、明るい性格であり、外国から来た客を、もてなすのが好きだ。だから日本人旅行者は、エジプトに行くと、病みつきになるのであろう。
しかし、2011年のアラブの春革命に、見舞われて以来、エジプトは経済的低迷と、社会的不安定のなかに、置かれ続けてきた。その低迷の流れを変えたのが、シーシ大統領であろう。彼はクーデターを起こして、ムスリム同胞団の政権を打倒して以来、国家の再建に全力を尽くしてきている。
シーシ大統領が最初にエジプト国民に、夢を与えたのは、第二スエズ運河建設計画だった。その運河は来年完成する予定だが、完成後には今の何倍もの船が、スエズ運河を通過できるようになり、エジプトの国家財政はよくなるだろう。
シーシ大統領が進めた、もう一つの経済改善策は、世界に呼びかけて、エジプトに投資をさせるということだった。シャルム・エルシェイクで開催された投資会議では、参加国企業との間で、362億ドルの投資の、基本合意が交わされている。
もう一つはアラブ湾岸諸国からの、エジプトへの投資と援助だった。サウジアラビアを中心とする、アラブ湾岸諸国はエジプトに対して、120億ドルの援助と投資を決めている。
こうした内外からの資金を合わせ、シーシ大統領は4170億エジプト・ポンドを投資する予定だ。そのうちの1800億エジプト・ポンドは、エジプト政府が拠出し、残りの2370億エジプト・ポンドは、民間部門から集める予定だ。
このような計画で、エジプトは2015年~2016年度に、5パーセントのGDP,経済成長を実現する予定だ。そして、2018~2019年には6パーセントの、GDP成長を予定している。
また外貨準備高を、現在の205億ドルから、280億ドルまで引き上げるつもりだ。
問題は、これだけの資金を内外から集めるとなると、それだけのメリットが、なくてはならないということだ。それは述べるまでもなく、金利をどうするかであろう。高金利で集められた資金で、果たして採算が合うのかという不安はあろう。
『エジプトの経済発展見通し』
2015年5月15日