シリア北部の街コバネで始まった、シリアのクルド人対IS(ISIL)の戦いは、イラク・クルド自治政府のペシュメルガ軍が参加することにより、クルド側の勝利に終わった。
これまでイラク・クルド自治政府は、ペシュメルガ軍を数度にわたって派兵したが、これ以上は必要ないと判断したようだ。最後のペシュメルガ軍はコバネから撤収し、トルコのシャンヌルウルファにバスで移動し、そこから飛行機でクルド自治区の首都エルビルに戻った。
このニュースを漠然と読んでいると、何の変哲もないペシュメルガ軍のIS(ISIL)に対する勝利、ぐらいに思えるのだがそうではない。イラクのクルド自治政府が、もうこれ以上コバネにペシュメルガ軍を、送る必要はないと言っているのは、IS(ISIL)によるコバネに対する再度の攻撃は、ありえないと判断したからであろう。
その事は、IS(ISIL)が既に戦闘能力を、大幅に低下させていることを、意味しているのだ。そうでなければ、クルド自治政府は最終的な、ペシュメルガ軍の派兵中止を宣言すまい。
現在なおIS(ISIL)はイラクやシリアで、戦闘を継続しているが、それは相当追いつめられての、ものではないのか。また、リビアやサウジアラビアでの、IS(ISIL)の軍事行動は、新天地開拓であり、まだ本格的なものにはなっていないようだ。
以前から予測してきたように、IS(ISIL)のシリア・イラクでの役割は、すでに終えているのではないか。加えて、アブーバクル・バグダーデイの重病説(死亡説もある)は、IS(ISIL)の背骨に大きなショックを、与えているのではないのか。
アブーバクル・バクダーデイの後継者といわれている、アフリ―がどのような軍事行動を、これから採るのかは予測できない。しかし、今の段階で言えることは、一旦勢いが止められると、次に勢い良く動き出すまでには、時間と相当の努力が必要だということだ。
IS(ISIL)によるリビアでの軍事作戦は、今までの状況から判断する限り、リビアのイスラム原理主義組織が、バイアを宣言していたにもかかわらず、良好な協力関係には至っていない。それどころか、リビアの各組織から疎まれているのではないかと思われる。
サウジアラビアもIS(ISIL)に対する警戒を強化し,徹底的な対応がとられそうだ。そうなるとIS(ISIL)の新天地は、ロシアか中国になるのであろうか。