サウジアラビアのペルシャ湾に面した、ダンマンでIS(ISIL)が爆弾テロを実行した。同市のアルノウド・モスクの金曜礼拝時に起こったテロで、4人が犠牲になった。そのうちの一人が爆弾テロ犯か否かは不明だ。
IS(ISIL)は爆弾テロ実行犯の名前をアブー・ジャンダル・アルジャズラーウイと発表した。多分彼の苗字から判断すれば、湾岸の出身のテロリストであろう。
サウジアラビアではつい1週間前にも、アルカテイーフでモスクを狙ったテロが起こり、21人が犠牲になっているが、今回はその続きであるとし、IS(ISIL)の犯行であるとすれば、サウジアラビアは今後も継続して、シーア派モスクを狙ったテロが、起こることを警戒しなければなるまい。
サウジアラビアの内務省は犯人について、女性の服装をしていたというが、それは間違いではないか。サウジアラビアでは女性が車を運転することは、禁止されているからだ。もちろん、それを承知で行ったとも考えられなくは無いが、テロ実行犯が警察に捕まるようなことを、あえてするとは思えない。
内務省の責任者は、犯人の遺体の特定ができていないために、テロ実行犯と被害者を、混同したのではないか。
爆弾テロが起こったダンマンはサウジアラビア東部の州都で大都市であり、シーア派とスンニー派が混住している所であり、今後はその他の都市にも拡大していくとすれば、サウジアラビアは危険な方向に、向かっているということであろう。
既に、IS(ISIL)はサウジアラビアをターゲットとする、と宣言しており、その宣言どおりに、テロが行われたということだ。
サウジアラビアは一方では、イエメンとの戦争を始めており、他方ではイランとの緊張関係が続いており、いまはIS(ISIL)によるテロ攻撃に、さいなまれているということだ。
サウジアラビアが警戒しなければならないのは、これだけではない。イラクのシーア派勢力やレバノン、シリアとの関係も、極めて緊張した状態にあるのだ。それらのいずれと衝突するか分からないということだ。
もちろん、レバノンやシリアがサウジアラビア本土に、テロを仕掛けてくる可能性は低いだろうが、外国在住のサウジアラビア外交官やビジネスマン、観光客がターゲットとなる可能性は否定でき無い。
加えてイラクの動向を見ていると、イラク政府がIS(ISIL)のサウジアラビア侵入を、黙認する可能性もあろう。