トルコがIS(ISIL)のスポンサー国の一つであることは、以前から言われてきていた。IS(ISIL)はサウジアラビアやカタールといった、アラブ湾岸諸国の支援も受けている、といままで言われてきていた。
ここにきて、アメリカのニューヨーク・タイムズ紙が、トルコとIS(ISIL)との関係を暴露する記事を、掲載したようだ。その内容は『トルコがIS(ISIL)に対して、爆発物の原材料となる肥料を、2日間で4回にわたり、シリア側のIS(ISIL)に届けた。』というのだ。
トルコ政府は当然、このニューヨーク・タイムズ紙の報道を否定し、あくまでもシリアの農民が使う、肥料だと主張している。
しかし、今までのトルコの行動から、一概にはトルコの主張を信用できないだろう。トルコはいままで、武器をIS(ISIL)側に渡してきたし、戦闘員がトルコ経由でシリア、イラクに向かうことを許してきたし、IS(ISIL)が行うシリアやイラクの石油の密輸を、黙認してきてもいるからだ。
最近になって、トルコ経由の戦闘員のシリア、イラク移動は、国境閉鎖により不可能になったことになってはいるが、国境線は1000キロもあるのだから、ちょっと迂回すればどうにでも、移動できるであろう。
トルコ側が国境閉鎖によって、戦闘員の通行を阻止したのは、実は自国の都合によってだといわれている。6月7日に予定されている選挙を前に、IS(ISIL)などのテロリストが、トルコ国内でテロ犯罪を起こすことを、阻止するためだというのだ。
トルコがいまだにIS(ISIL)を支援しているのは、トルコの事情によるのだ。トルコは何としてもシリアのアサド体制を、打倒したいと考えており、そのためには、IS(ISIL)がアサド体制打倒の、有効な戦闘集団と考えているからだ。
しかし、こうしたトルコの政策は、次第に欧米をも敵に回すようになってきているし、国内でも多くの国民が、この事実を知るようになり、一時期は51パーセントもあったエルドアン体制支持率が今では37パーセント台にまで下がっていると伝えられている。
エルドアン大統領のIS(ISIL)支援政策と、反アサド体制政策は、6月7日の選挙にも悪影響となると考えられるのだが。エルドアン大統領は60歳にして『甥の一徹』に達したのであろうか。