サッダーム・フセイン体制下で、ナンバー2だったイッザト・ドーリは、今でも生きている。昨年の戦闘で、彼に良く似た人物の死体が見つかり、イッザト・ドーリは死亡したのではないか、と言われていた。しかし、当時も死体は別人のものだ、と主張するマスコミもあった。
そのイッザト・ドーリが、金曜日(5月15日)のテレビ放送で、音声メッセージを発した。そのメッセージは15分程度のものであったが、前後の解説などを加えると、約2時間の番組になっていたということから、相当にバアス党のテレビ局は、この番組に力を入れていたことが分かろう。
イッザト・ドーリはアンバールのスンニー派の住民が、イランのイラクへの台頭に腹を立てており、それが問題を困難にさせていると語っている。イランによるイラクへの侵入は占領であり、イラクをしてイランの次なるスンニー地域への、攻撃拠点にする考えだというのだ。
イラクはイランにとって、サウジアラビアへの攻撃の拠点であり、次いで、レバノンやシリア支配への、拠点になるといいうことのようだ。
このイッザト・ドーリのメッセージは、先にバグダッドで行われた、バアス党会議の後に録音されたものだ、と番組の解説者は語っている。
イッザト・ドーリはIS(ISIL)について、バアス党がIS(ISIL)であり、IS()ISIL)がバアス党だったと述べた後で、数ヶ月前にバアス党のIS(ISIL)内部幹部の3分の1が、逮捕されていると明かしている。
我々バアス党はIS(ISIL)ト会談をしたくない。彼らはバアス党の考えを、否定しているからだ、と語っている。しかし、IS(ISIL)がイラク国内で行った斬首などの処刑については、それぞれに理由があった、と擁護するような発言もしている。
このイッザト・ドーリのテレビ向け録音メッセージは、何を伝えたいのであろうか。
第一にいえることは、イッザト・ドーリが死亡していない、とい明確な証明をしたということだ。
第二に言えることは、バアス党の会議がバグダッドで開催されている。つまり、バアス党は現在なお、バグダッドで会議を開催する力を、イラク国内で持っているということだ。
第三に言えることは、バアス党とIS(ISIL)との関係に、齟齬が発生し始めてきているということだ。
第4に言えることは、バアス党のイランに対する戦いを、サウジアラビアやシリア、レバノンなどとアラブ・スンニー派の結集を持って、実施していきたいということであろう。