BBCの電子版は、サウジアラビア女性ジャーナリストが、同国のアルカテイーフに潜入し、現地の様子を伝えたことを報道している。彼女の名前はサファー・アハマドでサウジアラビア国籍だ。
このアルカテイーフ地区は、サウジアラビアでは例外的に、シーア派の人たちが住民のほとんどを占めている。そのため、サウジアラビア政府は事ある毎に、弾圧を加えてきていたし、シーア派住民に対する差別、貧困、弾圧を続けてきている。
サウジアラビアのなかで、シーア派国民の占める割合は、15パーセント程度と伝えられているが、それは政府の発表であり、あるいはもつと多いのかもしれない。
サファー・アハマドが伝えた内容は、そう詳しくは無いが、それは相当警察の監視が厳しいからであろう。アルカテイーフで著名な活動家には、ファデールサフワーニとモルシー・リッブがいるが、彼らは昨年2月にあった、家宅捜査の折に、逃亡を図り逮捕されなかった。
サウジアラビア政府は、アルカテイーフの活動家たちを、スパイ呼ばわりしてもいるようだ。サファー・アハマドはアルカテイーフ取材中に、警察にアバーヤ(女性用のガウン)の着方が悪い、と厳しい叱責を受けたと語っている。
彼女がアルカテイーフで会った、モルシー・リッブの友人は、モルシー・リッブが昨年末に、殺害されたと語っている。その後、2人の警官が報復で、殺害されている。
最近では、デモなどでアルカテイーフの住民が、拳銃で警官や兵士に、反撃することがあるようだ。そのことについて、アルカテイーフの住民は『家宅捜査などをされることに我慢が出来ない、だから拳銃でも使うのだ。』と語ったということだ。
つまり、いまやアルカテイーフの住民の、サウジアラビア政府に対する抵抗運動は、単なる平和的なデモの域を、超えたということだ。そのことは、ますますサウジアラビア軍や警察と、アルカテイーフの住民の衝突が、激しくなるということであろう。
つい最近、IS(ISIL)がアルカテイーフのモスクを襲撃し、19人とも20人とも言われる犠牲者を出した、負傷者の数も百人前後に達しているということだ。サウジアラビア政府にとっては、アルカテイーフのデモの拡大と、そのことへのイランの関与の懸念、加えてIS(ISIL)のサウジアラビアへの侵入を、警戒しなければならない、厳しい状況になったということだ。