3月に空爆で重傷を負った、アブー・バクル・バグダーデイの後継者とみなされる人物の名前が、明らかになってきている。彼の名はアファリーで、イラクのモースル市の出身だということだ。
後継者候補のアファリーは、正式名名前はアブドルラハマン・ムスタファであり、通常はアファリーと名乗っている。彼はイラク国籍でありモースル市で生まれ、物理の教員としてニノイ県のテルアファリ市の学校に勤めていた。
同時に彼は宗教学にも長けており、シャリーア(イスラム法)に関する本を、書いているということだ。つまり、相当のインテリだということになる。しかも、彼はカリスマ性を持っている、人物でもあるようだ。
彼はIS(ISIL)のなかにあって、重要な地位を占めており、シリア、イラクでの作戦展開の、指揮も取ったということだ。彼はIS(ISIL)のなかで、諮問会議の議長を務めていたし、副カリフでもあった。
また女性担当、戦死者遺族担当でもあったようだ。彼はIS(ISIL)のなかにあっては、アブー・シッジーとも呼ばれていたるということだ。
IS(ISIL)Nの母体であるアルカーイダのトップは、世界的に知られるウサーマ・ビン・ラーデンに始まり、次いでアブー・オマル・バグダーデイ、そしてアブー・アイユーブ・マスリーが就任してきた。アファリーはその後継者とも、みなされていたようだ。
アフリーは1998年にアフガニスタンに入っており、アルカーイダの重要な幹部の一人になっていた。他方、IS(ISIL)はアブー・マスアブ・ザルカーウイが2004年に設立している。
アファリーはアルカーイダの下部組織、例えばヌスラ組織などとの、和解を希望しているということだ。しかし、外国人(非ムスリム)とは別の組織にしたい、と願っているようだ。
当然であろう、ムスリムでない者が、ムスリムの組織のなかにあって、大きな地位を占めていることは、極めて不自然であろう。また、彼らがシャリーア(イスラム法)から逸脱することも、多々起こりうることであろうからだ。
さて、このインテリのアファリーが、アブー・バクル・バグダーデイの後継者となり、IS(ISIL)を指揮していった場合、IS(ISIL)は穏健化していくのであろうか。アブー・バクル・バグダーデイが重症を負ったことは、実はIS(ISIL)が衣替えしていく、好機なのかもしれない。
これまでのような、虐殺を繰り返すような手法では、結果的に大衆の心をつかむことは出来ず、IS(ISIL)が唱えている、イスラム国家の樹立は、夢物語に終わってしまおう。あのアルカーイダですら、結果的にはアフガニスタンを、手中に収めることが、出来なかったのだから。