『サウジアラビアでインドネシアメイド斬首』

2015年4月19日

 

 カルニ・ベント・メデイ・タルシム、それがサウジアラビアで斬首刑になった、インドネシア女性の名前だ。彼女は雇い主の子供を、殺した容疑で逮捕され、今回斬首刑に処せられた。

 インドネシアやフィリピンからは、多くのメイドがアラブ湾岸諸国に、出向いて働いているが、彼女らの置かれている状態は、決して単なる出かせぎといった、簡単なものではない。

 若くてきれいな女性は。雇い主のご主人にレイプされ、奥さんからはその焼餅で、暴力を受けることがたびたびある。彼女たちの生活環境も、劣悪だということをよく耳にする。つまり。家畜同様の対応を。受けているのだ。

 カルニ・ベント・メデイ・タルシムだけではなく、ザイナブという名の女性も斬首刑になっており、これでインドネシア出身のメイドは、一週間で2人が斬首されたということだ。

 彼女たちには当然の権利である、弁護士が付かないばかりか、サウジアラビア側の取調べの内容についても、インドネシア大使館には、伝えられないのが普通だ。言ってみれば、闇から闇に葬られるということであろう。

 ザイナブの場合は、子供に暴力を振るって、死なせたということになっているが、あるいは雇い主の夫婦のどちらかが、実際には犯行に及んだのかもしれない。しかし、取調べの内容が明らかにならないために、何ともしようが無いのだ。

 このことは、インドネシア国内で大きな問題になっているが、サウジアラビア側に対して取れる、しかるべき対応は、犯行の取調べ記録を、公開することを要求し、内容次第では斬首に対する、補償を取り付けるだけであろう。

 しかし、サウジアラビアなどへの出かせぎ収入が、少なからぬ外貨収入源になっている、インドネシアとしては、厳しい要求もしかねるのではないか。

 女性の出稼ぎ者ばかりではなく、男性の場合も同様に厳しい環境におかれている。工事現場で死亡した者に対する補償は、皆無に等しいのではないか。賃金の突然の引き下げや、不払いは頻繁に起こっているし、雇い主がパスポートを取り上げ、半ば監禁状態で働かせている、というケースはごく普通なのだ。

 こうしたアラブ湾岸諸国で起こっている、非人道的なケースについては、国際機関が介入するしか、方法はあるまい。たとえ、日本でサウジアラビア大使館に抗議デモをかけても、あまり大きな効果は、期待出来無いだろう。もちろん、世界的な規模で、サウジアラビア大使館に対して、抗議デモが起これば、話は別であろうが。何とも気の毒な話だ。