イラクのラマデイ市はどうなっているのか、情報が錯そうしている。イランのプレスTVは、イラク軍がIS(ISIL)に勝利し、ラマデイ市を制圧したと伝えている。しかし、イギリスのBBCはその限りではない。IS(ISIL)側が特攻攻撃をイラク軍にかけて、イラク軍側に大きなダメージが生まれている、と伝えている。
ラマデイ市の市長ファフダーウイ氏は、BBCとのインタビューで、『IS(ISIL)が街に迫っており、危険な状況にある。』と語った。ラマデイ市の周辺町村は、IS(ISIL)が支配しているところもあり、一部からがイラク軍が撤退し、住民も逃れたということだ。
ラマデイ市とバイジ市には大型の製油所があり、IS(ISIL)としては何としても、抑えたいのであろう。それはイラク政府にとっても同様であり、いかなることがあろうとも、ラマデイ市を支配し、死守しようと考えているのであろう。したがって、ラマデイ市をめぐる戦闘は、今後、激しさを増していくものと予測される。
すでに、テクリート市はイラク軍によって、完全に解放されており、イラク軍側はこの成功で、自信をつけたのであろう。
そうなるとIS(ISIL)側の作戦は、再度恐怖を与えることなのであろうか。イラクのアンバル市で、300人が斬首されたのは、その一端であろう。しかし、IS(ISIL)が最近になって、どうも守勢に回っているのは、確かではないのか。
アメリカ政府の発表によれば、IS(ISIL)はすでにイラクで占領していた、25パ-セントから30パーセントの地域を失っている、ということのようだ。もちろん、この状況変化はアメリカの喜ぶところであり、イラク政府と軍を称賛している。
先日、シリアのパレスチナ人が居住する、ヤルムーク・キャンプが、IS(ISIL)によって襲撃され、ほぼ支配下に置かれたが、IS(ISIL)は間もなく、そこから撤退している。それが何らかの、政治的意図によるものなのか、という考えを持っていたところ、再度IS(ISIL)はヤルムーク・キャンプに攻撃をかけ始めた。
つまり、一旦はヤルムーク・キャンプを支配したものの、その維持がIS(ISIL)にとって、危険だったために撤退し、再度作戦を立て直した、ということであろう。
こうした一連の動きは、IS(ISIL)が守勢に立たされている、ということの証ではないのか。もちろん、ぬか喜びをするわけにはいかないが、現実はそういうことであろう。